研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 062/092page

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ダイオードを用いた装置の製作について
 
押 山 峯 雄
(第2研修部)
整流・平滑波形観察装置とはんだごて加熱防止装置(仮称)を製作した。


l.はじめに

 半導体ダイオード(以下省略して,単にダイオードという)は,学習指導要領では,第3学年で扱うようになっている。
 ところが,ダイオードは,トランジスタを用いた増幅回路の設計と製作の題材で扱われるため,直流電源回路の製作が行なわれなければ,そのはたらきや使用法についての,本格的な学習が,なされないのが実情であろうと思われる。なぜならトランジスタ増幅器の電源は,一般的に電池が使用され,交流100Vを直流にかえて用いるという学習は,殆んど行なわれないと思われるからである。

 したがって,ダイオードの学習も,順方向や逆方向に電圧を加え,その導通の有無を回路計で調べ,しくみや使用法,図記号など簡単に扱って,終了するというケースが多いと推測される。
 生徒の電気学習に対する興味や関心の度合は,一般に高いものがあるが,目に見えない電子のはたらきを追求させることは容易でなく,学習に対する満足度は,必ずしも,高いものとはいえないものがある。それは,本教材のもつ抽象性,教具や設備の不備,などいろいろな要因が考えられる。

 本装置の製作は,ダイオードを用いた装置についての学習を充実させるため,
● 電気現象を視覚でとらえ,
● その現象の根底にある回路要素のはたらきと,
● 回路構成上の相異が思考でき,
● 製作や修理時の用具としても活用され,しかも,
● 学習指導要領改訂後は,不用になるであろう部品を利用して,整流・平滑波形観察装置とはんだごて過熱防止装置(仮称)を製作した。

2.整流・平滑波形観察装置

(1) 製作のねらい

 ダイオードを用いた,直流電源装置のしくみとはたらきを,回路別に,オシロスコープ等の波形として導き,視覚を通して,理解させようとしたものである。
具体的には,
○ 整流回路である半波整流回路と全波整流回路のちがいとはたらき
○ 全波整流回路のセンタタップ形とブリッチ形のちがいとはたらき
○ 平滑コンデンサのはたらき
○ 切り替えスイッチの操作による回路構成上のちがい。
を理解させようとしたものである。

(2) 製作した装置

写真1
写真−1
 写真−1の上部にある黒い箱形をしたものが本装置である。この装置は,オシロスコープかシンクロスコープと組み合わせて,整流・平滑作用の


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