研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 080/092page
図3によると,全体の活動内容の半数以上を占めるのは@「聞き方,話し方に関するもの」(56%)である。具体的には「日常会話の初歩練習」(12校),「英語の歌」(10校)で,この2項目が英語クラブの活動の中心を占めているといえる。
A「読み方に関する活動」(14%)は,高等学校と異って「英字新聞」の活用は少く(2校),英文学等の中学生向双書の活用が多く9校で行っている。
B「趣味的な活動」(13%)では,「海外ペンパルとの手紙の交換」(6校),「文通の結果としての絵葉書,切手,写真の展示」(4校)など郵便友の会に入会して海外のペンパルを紹介してもらいながら活動している。
C「実践活動は」「外国人を招待しての活動」が1校のみで,「他校との交歓」を来年度計画中の学校が1校あった。いずれの地域でも外国人を英語クラブに招待するなどの活動は非常に困難であることをものがたっている。
D「発表活動」(16%)は,英文手紙の発表など英語クラブ内での発表活動(7校),校内学習発表会は,来年度計画中(1校)をふくめて9校あり,地区英語暗唱,弁論大会参加は,10校と,各地区共に活発な発表活動をつづけていることがうかがえる。
これらの調査から,英語の読解力の未熟な中学生の英語クラブでは,「読むこと」に関する活動や実践活動は困難であるので,「聞き方・話し方の活動」(英語会話練習等),「海外ペンパルとの手紙の交換」や「英語の歌による活動」が生徒たちの興味・関心も高く,活発な活動がすすめやすいということができよう。この調査の結果は,英語クラブに集ってきた生徒の英語に対する興味の実態を浮きぼりにした。それは「英語を話せるようになりたい」ということである。@「聞き方・話し方に関するもの」の活動合計が47で,2位のA「読み方に関するもの」16の約3倍となっていることからもうかがえる。
そのほかB「趣味的な活動」10,C「実践活動」6D「発表活動」14である。これらの結果から言えることは,今回の調査に関する限り,必修英語クラブの活動内容は,会話志向型だといえよう。全項目の中で,第1位であったものは,中学校と同様に「日常会話の初歩練習」12であったこともこれを裏づけている。次に位置づけられるのが,「英語の歌」9に対する関心の深さである。このことから,通常の授業の中に「会話」と「歌」に対する場所をもう少し与えれば,英語に対する興味と関心を有効に喚起することができるのではないかと思われる。