研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 081/092page

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(5) 英語クラブ運営上の問題点

−中学校−
@ 予算・経費
 「予算不足であり生徒に負担してもらっている」「教材購入ができない」という学校が多い。英語クラブ運営費が,最低0円(7校)から最高26,000円(表2参照)まであり,さらに「校内発表会,文化祭(英語劇等)を行うときには,市費14,000円加算されるので経費上は特に問題がない」という学校まであるので,せめてクラブ運営費0円の学校がなくなるように関係者のご配慮をいただきたいものである。

A 施設・設備
 「LL教室があるので設備の面では不満はない」「充実しているので不便を感じない」各1校を除いて,ほとんどの学校で「学習教材・機材」の不足・購入希望を訴えている。
−各校からあげられた主なもの−
○ タイプライターに興味をもっている生徒が多いのでもう2,3台ほしい。
○ 英語(クラブ)専用の教育機器(テープレコーダー・VTR等)がほしい。
○ LL(語学演習室)がほしい。
○ テープ教材(生テープをふくむ)がほしい。

B 生徒の要求について
 教科の学習と深い関連をもつ英語クラブであるためか,単に教科の補習を望む生徒,「教科書に準拠して学年別の指導をしてほしい」がいるということは,クラブ活動の本質・目的についての理解のさせ方が不十分であると思われる。
−各校からあげられた主なもの−
○ 外人と直接話してみたい。
○ 英語を使ってたのしくすごしたい。
○ タイプライターをおぼえたい。
○ 英語の歌を数多くおぼえたい。
○ 英語劇をやりたい。

C 指導にあたっての悩み,問題点について「学年差に応ずる指導」の困難を訴えるものが多い反面,「生徒の学力差が大きいため学年ごとに3グループにわけて指導したので満足のいく指導を欠く時もあった」という反省もみられた。
−各校からあげられた主なもの−
○ 週一回なので行事等でカットされ計画的運営がむずかしい。
○ 1年から3年までの学力・能力差が大きく,苦労する。
○ 場所・指導者の不足
○ 特に4〜5月の1年生の指導が困難で入門期の教材がほしい。

−高等学校−
 概観してみると,@予算については0という学校が6校もあり,必修クラブの歴史の浅さも原因となって,予算上の市民権をまだ獲得していないように思われる。中には「全体の予算が乏しく教材やテキストなどは自己負担」と書かれた方もいた。A施設・設備については「LLがほしい」5校と一番多かった。
B生徒の要求については,「外人と話してみたいが,外人がみあたらない」が多いが,また「外人を招待して実践活動を行なっている」というのは6校であった。C指導についての悩みでは,1つは,生徒が「積極的に活動に参加せず,みずから求める姿勢不足」というものである。この大きな原因として,英語クラブが第一志望ではないのに,まわされてきたという生徒の存在があげられている。第2の問題は,同一クラブに1年と3年が混合し学力差があって指導しにくいというものである。中には,学年毎に分けて別の場所で活動させ,この問題を解決している学校もある。


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