研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 009/066page
クせんにホッチキスでとめ,それを竹ひごにさし,ボールペンの軸にさしこんだものである。
また,折り紙を利用して作る風車もよい。B ロケット飛ばし
紙筒でロケットを作り,ゴムを使ってその飛ばしっこをする。紙筒は,古はがきをまるめてセロハンテープでとめる。発射台は,前時の要領で作り,ゴムの先に短くしたわりばしを結びつける。
おもちゃができたら,打ち上げ競争などのゲームで遊ばせる。より高く飛ぶロケットや発射台の工夫により,ゴムの太さや数,長さなどによる飛び方の違いに気付いてくる。さらに,筒に翼をつけて飛ばすなどの工夫も見られるだろう。
人にぶつからないように,安全を配慮して活動させる。C 糸巻き車
導入では,教師の作った糸巻き車を動かして興味を持たせ,一人ひとりに作らせるようにする。
今までのおもちゃにくらべてややむずかしいので,材料や作り方について話し合い,ゴムの通し方や固定のしかたなどを指導しておく。作り方のわからない子や作業の遅い子には援助してやる必要があるが,時間を十分に与えて,「自分で作った」という喜びを持たせるようにしたい。次に自分で作ったおもちゃで自由に遊ばせ,よく動くように工夫したり作り直しをしたりさせる。
材料の工夫という点から考えると,図11のように空かんを利用した糸巻き車も工夫できる。穴は教師がドリル等であけてやらなければならない。また,乳酸飲料の容器を使うのもよい。ゴムのねじれの様子が見えるので,ゴムのはたらきを知る上で都合がよい。この場合,図10のろうのかわりにボールペンの軸などを輪切りにしたものを使うとよく回るようである。
5 お わ り に
知識・理解を主眼とした理科から活動を重視した理科へ,学習指導要領における低学年理科の発想の転換は,子どもたちの理科への取り組みに活力を与えてくれることと思う。反面,教師の授業展開への苦労は今まで以上のものになることも予想される。子どもたちの喜ぶであろう「動くおもちゃ」を例にして,作って遊ぶ活動についての授業の展開と製作例について検討してみたが,子どもの実態に即したものであるかどうか心配な点も多い。また,このような活動に対する個々の児童の評価をいかにするか,検討しなければならない問題をたくさん残している。今後はこのような点についても研究を進めたいと考えている。
(参考文献)
@ 小学校学習指導要領ならびに同指導書 理科編 文部省
A 小学校新学習指導要領の解説と展開理科編 教育出版
B 武村重和著 理科の新展開2 理科の授業方法
C 小川格他著 小学校理科の内容・構造と指導のポイント
D 實野恒久著 講座低学年理科授業の実践 理科の教育
1978.4〜