研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 030/066page
この範ちゅうの高校物理への教材化としては,次の2点が考えられよう。
@ β 線の吸収に関する実験
・吸収板によるβ 線の吸収の度合を測定すること。
・吸収曲線を求めること。
・吸収曲線からβ 線の最大飛程を求めること。
・β 線の最大飛程は,吸収物質の原子番号に関係があること。
・β 粒子の最大エネルギーを求めること。A β 線の後方散乱
・β 線の後方散乱を測定すること。
・これをグラフ化して,飽和後方散乱を見いだすこと。そして飽和値に達する吸収層の厚さを求めて,最大飛程と比較して考えること。
・飽和値は,原子番号に関係があること。(1) β 線の吸収に関する実験(その1)
@ β 線源
Sr 90やTI 204等が市販されている。これを用いた実験は後述することにして,ここでは先ず,ピッチブレンドを線源とした場合の実験を示す。
なお,ピッチブレ ンドは図4のように塩ビ板にあけた穴につめ込んで用いる。
当然,ピッチブレンドは,崩壊系列の様々な核種をもち,放射線も α,β,γ のすべてを放射し,その最大エネルギーもまちまちである。
しかし,α 線は簡単に阻止できるし,また本実験で使甲するGM管は,α 線を捕えることができないので,結局ピッチブレンドはβ 線源(弱いγ 線を含む)として利用できる。
その最大エネルギーは U238,Th234,Pa234及び U234の放射平衝の中で Pa234の2.29Mev を採択し得るものと考える。A 装置
理振法規格の内田洋行製・放射能検知装置D型(GM 管使用)を用いる。
この場合,図3に示すように目盛りを入れた台上に,GM 管,吸収板,線源をそれぞれ固定するキャリヤを設け,逆二乗則,吸収,散乱等各種の実験が手際よくできるような,いわゆる測定台を自作しておくと大変便利である。B 測定結果
測定値,その処理過程及びグラフは次ページに示す。
●バックグラウンドについては,5分間計測して170C,従って,その計数率nBは標準誤差を考慮して
従って真の計数率nを求める際の標準誤差は,誤差の合成則に従つて
また,試料のts分間の計測数をNsとすればその計数率nsは
従って,真の計数率nは