研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 032/066page

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●計数の低領域範囲では,計測時間を2分,4分と増して誤差の縮小につとめた。
●このβ 線のAの中での最大飛程は,グラフから2.66mmと読みとれる。

 予想される値は,β 粒子のエネルギーを2.29Mev として
     R = 0.542×E−0.133  ※1
から4.2mmであるから,測定値はかなりの誤差をもつ。この原因としてはGM 管のガラス窓や空気による吸収等が考えられ,また曲線のひき方によっても左右されよう。

●逆に,最大飛程の測定値をもとにしてGM 管に入り込んだβ 線のエネルギーを求めると
     β 線のエネルギー
●線源,吸収板,GM 管のそれぞれの間の距離をある程度変えても,グラフの位置や傾きが変わるだけで最大飛程は同一の値を得る。
●AのほかにFe,Cu について吸収曲線を求めると,吸収物質の原子番号が大きいほど,最大飛程は小さくなることを見出すことができる。

図5 β 線の吸収

 各場合の最大飛程をグラフから求めて下表に示してみる。

吸収物質
原子番号
最大飛程mm
A
13
2.66
Fe
26
0.91
Cu
29
0.62

(2) β 線の吸収に関する実験(その3)

@ 線源として,市販のSr90を用いる。
A 装置や吸収板については前記のものと同じ。

●Sr90は,半減期28yで,0.545Mev のβ 線を放射してY90に壊変する。また,このY90は,2.27Mev のβ 線を放射してZr90に変る。結局,2.27Mev と0.545Mev の二種のβ 線を放射するわけで
 A中での最大飛程は
   R = 0.542×2.27−0.133
     = 1.097(g/cu)
これをmm単位に換算して,4.06mmが予想される。

B 測定結果
 測定値のまとめ方等については前記(1)の場合と同じだから,ここでは省略して結果をグラフに示しておく。(次ページ 図6)

●吸収板の厚さを最大にしても若干の計数率が残るのは,線源から放射される弱いγ 線と,吸収板に発生する制動放射に基づくものである。
●Aの場合,最大飛程をグラフから求めると,2.29mmを得る。

※1 エネルギーがE(Mev)のβ 粒子のA中での最大飛程R(g/cu)は
0.8Mev <E<3Mev では
R = 0.542E−0.133
0.15Mev <E<0.8Mev では
R = 0.407E1.38


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