研究紀要36号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究 (第1年次) - 015/022page
(4) 学校経営評価の方法(評価基準や尺度・用具等)について
評価基準・尺度等の有無やその内容,評価基準・尺度設定がない場合の評価方法の傾向をさぐろうとした。また,それらは校種や学校規模等によって違いがあるかを見ようとした。
〈要点9〉 学校経営評価の方法は,評価基準設定によるか,文章記述方式か,両者の併用で実施されている。
表9は,評価方法についての回答である。また表10は,評価基準の内容である。
表9どんな方法で評価しているか
評価方法(選択肢) 学校数1.評価基準を中心とした評価 6校2.評価領域・項目を設けて文章記述による評価 4〃3.評価領域・項目を設けて話し合い・討議による評価 0〃表10評価基準の内容
評価基準の分類(選択肢)学
校
数 評価方法の内容(選択肢) 記述評定
尺度 点数評定
尺度 段階 チェック
リスト 文書記述
併用 3 4 5他機関作成の評価基準 0 0 0 0 0 0 0 0他機関作成のものの自校化 3 2 1 1 1 1 0 3独自の評価基準 3 0 3 2 0 1 0 3 計 6 2 4 3 1 2 0 6評価基準を設けている学校では,項目や観点毎に「たいへんよい」「まあまあ」「あまりよくない」といった簡略した記述評定尺度による評価を行っている学校と,5,4,3,2,1,あるいはA,B,Cの符号による数量的程度を示す点数評定尺度による評価を行っている学校とがある。両者とも,文意記述を補うか,会議の過程で結果について話し合う方法をとり入れている。
〈要点10〉 評価基準あるいは評定尺度の設定と評価(評定)の客観化に不安材料を含んでいる。
評価の観点として示されているものが包括的であるため(細分化,具体化に限度があって),とらえる視点,立場が異なれば評価の結果も違ってくるという反省がある。
また,記述評定尺度,点数評定尺度をとっても,評定そのものに主観的判断が入りこむだろうという指摘もある。これらの反省や指摘は,客観的な学校経営評価のあり方に関わる問題を示すものであり,今後の課題となるものであろう。
具体的にどのような評価用具を用いて学校経営評価をしているのか,調査対象校の事例の一部を紹介しておく。
事例 1〔評価領域・項目を設けて,文章記述による評価〕 − C中学校 −
項目 観点 反省及び次年度対策学
校
教
育
目
標(1) 日標に向って生徒が努力を重ね,目標校に到達することができたか。
(2) 教育諸活動が,目標を指向して着実に目行われたか。
(3) 生徒の実態からなおすべき点はないか。