研究紀要第37号 登校拒否に関する研究 - 000_02/022page
ま え が き
ある日の朝,突然,登校することをしぶったり,時には,頭痛や腹痛を訴えたりすることがあるが,親としては,欠席の理由がよくわからないので,「どうして学校に行きたくないの?」と問いただしたりすると,ついには起きてこなくなる。なだめすかしても,しかってもだめで,逃げたり,暴れたりして登校しようとしない。
−こうして,発見されるのが「登校拒否」とよばれる子どもである。
本来,子どもにとっては,学校は楽しい場であると同時に,集団の中において,耐性を習得していく場でもあるはずであるが,多数の子どものなかには,保護のない立場におかれると,強い不安におそわれ,その場から逃避しようとする非社会的行動が,最近目立って増加してきている。
「登校拒否」の子どもも,このような非社会的行動の一つとみることができ,こうした現象に,どう対処するかは,学校における今日的な大きな課題の一つになってきている。
当教育センターにおいては,「登校拒否」に関する事例を中心とした研究の成果の一部を,所報等を通して発表してきているが,本年度は,これらの研究を基に,登校拒否の理解と指導について,事例を加えながら,まとめてみた。
本研究が,各学校において,学級担任を初めとして,すべての先生方に活用され,今後の教育相談活動の向上のために,役立つことを願うとともに,「登校拒否」の指導,ならびに発生予防に役立てていただければ幸いである。
昭和54年3月
福島県教育センター所長 佐 藤 信 久