研究紀要第37号 登校拒否に関する研究 - 001/022page

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T登校拒否をする子どものタイプ

1.登校拒否とは

子どもの側から登校拒否をみたとき,「学校に行けないもの」と,「学校に行かないもの」の二つに大別することができる。

前者は,保護者の教育に対する無理解による欠席,怠学による欠席等であり,後者は,子どもがなんらかの理由によって,主体的に学校に行くことを拒否しているものである。
後者の理由については,客観的には握することがむずかしい。一般的にいえることは,子ども自身に理由が内含し,非合理的に働く場合が多く,神経精神症的な症状・性格障害等になって表出されるので,これに目を向けなければならないということである。

本報告書では,「学校に行きたくとも行けない=登校拒否」を取りあげ,資料を提供する。

2.登校拒否のタイプ

登校拒否の背景は複雑であるので,これまでにいくつかのタイプに分ける試みがなされてきている。そこで,代表的な分類を諸文献から引用して紹介する。

(1) 原因について

○ 佐藤修策氏 「登校拒否児」−学校恐怖症の形状形成論

 @ 分離不安説
   親と子どもの問の未解決な依存性を症状形成の基盤とし,母(または父)との分離に対する不安が,学校場面に象徴的に置きかえられるもの。
 A 自己像論
   学業,対人関係,物事を処理することにおいて,実際より以上に,自分の能力を評価しており,非現実的・拡大的・自己愛的な自己像をもっている。
 B 場面逃避説
   学級で圧力を感じ,より安易な適応の場として,家庭への逃避や,劣等感のカモフラージュをする。
 C 抑うつ不安説
   退行的な親子関係,苦痛や現実の回避,ならびに抑うつ的思考の伝達などが,子どもの精神発達を妨げる結果となり,何かのきっかけで,母または子どもに抑うつ状態が生じ,それに耐えられなかったり,解決できなかったりする。
 D 心理的独立のざ折説
   児童期の子どもにみられるものであるが,思春期においては,軟弱な自己自覚意識と独立への自覚とのかっ藤による心理的なざ折である。

○ 村山正治氏 講座「情緒障害」−登校拒否

 @ 分離不安説
 A 自己万能感脅威説
   自己を一段と高いところにおくことから起こる脅威
 B 場面逃避説・回避反応説
 C 抑うつ説
 D 両性かっ藤説
   学校恐怖症の少年は消極的・引っ込み思案であり,少女は攻撃的である。
 E アッピール説
   自分の苦悩を伝達しようとするものであり,救助のためのアッピールである。

○ 玉井収介氏 「いわゆる登校恐怖症に関する研究」

 @ 学校をはじめとし,どこへも行かない群

  ア 母子分離不安
   ・小学校下学年群は親子間の相互依存性がきわめて高い。
   ・小学校上学年群は親に対して依存的である反面,相互的な様相が認められる。
   ・中学校・高等学校群は子どもは親の期待を自分のものとして取り入れ,それによって適応していく,いわゆる「いい子」であり,親子関係に表面的なかっ藤がない。


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