研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 065/081page
くに入れたもの。Dは,見返しを表より0.1cmひかえたところである。
写真7 えりぐり見返しやポケットの丸みの作り方写真6,写真7は,生徒達に考えさせるための資料の1例である。
他の基礎技術の指導にあたっても,以上のように目標行動を分析し,有効な指導資料を工夫し,生徒たちの思考力を伸しながら正しい技術を習得させ,生徒たちに製作の喜びを味わわせたい。次のものは,前出の高野先生の指導によりスモック製作をした生徒の感想文である。
スモックを製作しての感想
国見町立県北中学校 1年 K子
スモックを作るといわれた時,こんな不器用な私に,完全に作り上げられるだろうかと思った。しかし,作り始めてからは,そんなことは思わなくなり,とても楽しい時間になった。スモックは,普通のエプロンを作るよりは難しいが,やっているとそうでもない。あっという間にできあがった。できあがったスモックを着てみた。私の心は,とてもはしゃいだ。なんていったって,自分で作り上げた,自分だけのスモックだからだ。けど,どうも不器用さがでている。そんなところをかくすために,ししゅうをした。そんなスモックでも,初めて作った私だけのスモックなので,とてもじょうずにできたと思う。紙面の都合で1名だけの感想をのせたが,一つの作品を長期にわたって作るには,それなりの努力がいる。それだけに完成の喜びは,K子さんの感想文に現われている通りである。この他にも,「一着の衣類を作るにも大変な努力がいることがわかった。物を大切にしようと思う」,「だれが見てもうまいとは言えないが,初めて縫ったスモックが私には大切に思えた」など製作の喜びを書いている生徒が多かった。これらの情意面を大切に育てていきたいものである。
(4) 製作した型紙を基にしての創意工夫
製作した型紙を基にして姉妹のものに創意工夫をこらして,変ったデザインに応用・活用出来る能力を養うことが出来るよう写真8のように実物を作成して例示するのもよいと思う
7 まとめ
スモックの製作学習における基礎技術を支える条件として必要な資料を実験を通してまとめたものである。
スモックの指導において,示範やTPシート資料提示などを行い,理論的裏づけとして見せ,科学的な根拠を理解させるために役立ててほしいと思う。
基礎技術をしっかりと身につけさせるように資料や指導法を研究し,生徒たちに満足した学習体験が与えられるようにしたいものである。
◆参考文献 中学校技術・家庭科研究の手びき 文部省 実験被服構成学 石毛フミ子著 衣服衛生と着装 渡辺ミチ著