研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 000_02/038page

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ま え が き

この「授業研究と評価」については,昭和53年度から2か年計画で実践してきたものである。
第1年次においては,既に紀要第34号で紹介したとおり,県下全小中学校における授業研究の実態についてアンケート調査を行い,校内における授業研究実施上の問題点等を明らかにしてきた。

本年度は,それらをうけて「2−1−2方式の授業研究」とし,対象とする授業研究の範囲を限定して取り組んできた。なお,この研究の推進にあたっては,小中学校13名の研究委員の先生方と,それぞれの所属学校の御協力に負うところが極めて大きかった。ここに衷心より感謝申し上げる次第である。

ところで,私どもがかってやってきた授業研究の最も一般的な姿は,実際の授業がどのように行われているかの忠実な観察と記録から出発して,それをいろいろな視的から分析してみるというものであった。この実践を支える考え方としては,教師と学習者の発言や行動を,できるだけ詳細に記録分析していくならば,やがて一般的な分析の枠組みが浮かび上がり,その枠組みを授業の実践的改善や,法則的研究に利用できるようになるのではないだろうかという考え方からであった。

さて,このような授業研究においては,授業研究の一般的手法や取り組み方を身につけたり,あるいは,その授業についての総括的な感想や意見等をだし合ったりするのには大変効果的である。しかし,数多い視点からの分析のためには相当量の時間数を必要とする。そしてまた,その時間の確保はますます困難になってきているばかりでなく,たとえ十分な時間をかけて実施しても,何か焦点の定まらない同じ実践パターンの繰り返しになってしまい,授業の概括的な把握の域を脱しきれずに終わってしまうことが多いようである。前年度の調査事項の中に,「授業研究のねらいがどれだけ達成されたかの判定が難しい」という学校現場からの反省が,極めて高い頻数を示していたことなどは,この間の事情を如実に物語っているものということができよう。

この度の「2−1−2方式の授業研究」においては,このような反省を十分ふまえ,従来のように,いつも授業をオールランドにながめるというやり方ではなく,その授業の過程の中に,研究主題や授業の指導目標との関連においてマークする個所を幾つか設定し,そのことについては徹底的にメスを入れて吟味し,研究の焦点化を図るよう努めてきたところである。さいわい,研究委員と各所属学校の御協力により,このような考え方に立っ授業の実践例をここに載せることができた。研究の意図を十分御理解下だされて,今後の教育実践にぜひ活用くださるよう願ってやまない次第である。

   昭和55年3月

福島県教育センター所長 佐 藤 信 久 


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