研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 001/038page

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T 研究の趣旨

今日,授業研究は,かつての専門的な研究者の手による授業研究から,教師自身の手による授業研究の方向に進展し,教師は自らの手で授業上の諸問題を克服し,授業を改善充実させ,指導力の向上のために授業研究を行うようになってきている。

ところで,授業は,教材を媒体とした,教師と児童生徒の有機的な相互作用である,といわれており,いろいろな要素が複雑にかかわり合っている。したがって,それらのつながりをひとつひとつ分析し,再構成することは,もとより困難なことであって,ここに授業研究の難しさがある。

それならば,学校においては,一体どのような授業研究が,より効果的なものであるのか。全国教育研究所連盟が,昭和52年度から54年度までの3か年計画の共同研究の主題として,「授業研究と評価」を選んだのは,この問いに答えるためであった。


そこで,本教育センターでは,この趣旨をうけて,昭和53,54年度の2か年計画でこの研究に取り組んできたのである。

 

U 研究の経過

1.昭和53年度の研究について

(1) 本県小・中学校における授業研究の実態調査の実施

昭和53年度は,所員12名からなるプロジェクトチームを編成し,質問紙法によって,上記の実態調査(悉皆調査)を実施した。この調査は,学校における授業研究実施上の問題点を明らかにし,これを解決する具体的方策を確立するための基礎資料を得ることを目的に行ったものである。すなわち,今日学校で行われている授業研究はどのようなものであるかをまず知り,そこから,授業研究実施上の問題点をつかみ出し,まず,これらの点の解決を目指すことにしたのである。

この実態調査の結果については,すでに本教育センター紀要第34号にくわしく報告したが,以下の記述に必要な点を,次に要約する。

(2) 実態調査の要約

同紀要によれば,昭和52年度に現職教育の一環として授業研究を実施した学校は,小学校97%,中学校94%の高率を示しており,そのほとんどが,
 ● 研究主題を持った,校内の研究組織による授業研究
であった。そして,そのすすめ方は,
 ● 事前研究会−研究授業の観察−事後研究会の三段階

 ・事前研究会……授業者または小グループなどが作成した学習指導案を,全体で検討し,授業のねらいを明らかにして,観察記録の役割分担などを決定する段階
 ・研究授業の観察……観察記録の段階
 ・事後研究会……観察記録をもとにして,授業のねらいがどれだけ達成されたかの検討や,改善を要する点の指摘とその修正案などの検討をする段階
をふんだもので,教師は,研究主題の解決を通して,授業の改善充実,指導力の向上を図っている。

しかし,これらの授業研究は,何の障害もなく,かつ,効果的に行われているわけではない。わたしたちは,この調査から,校内の授業研究実施上の問題点を,次の三点にまとめることができた。

@ 時間がとれないこと。
A 研究授業の学習指導案の作成が難しいこと。
B 研究授業のねらいが,どれだけ達成されたかの判定が難しいこと。

昭和53年度の研究は,これらの成果を紀要第34号にまとめることによって一応終了した。

2.昭和54年度の研究について

本年度は,この研究の最終年度であり,前年度の実態調査の結果浮き彫りされた授業研究実施上の問題点を,いくらかでも解決するために,所員12名,学校関係13名よりなるプロジェクトチームを編成し,上記の三つの間題点を考察,分析する


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