研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 011/038page
7.事後研究会の記録
昭和54年9月7日 午後2時30分〜4時30分
場所 藤田小学校
出席者 21名(藤田小,教育センター)(1) 授業者の自評
鈴木 研究主題の解決策を三つにまとめ,それを意識した授業をやってみました。
@ 解決策の1番目,問題解決への必要感や意欲を起こさせる工夫,というのは,導入の段階で,私の方から一方的に,今日はこんなことを勉強します,というのではなくて,子供たちに,かけ算にも筆算があった方がいいなあということを,できるだけ強く感じ取らせて,今日これから勉強することは何かをつかませたいと思って授業を展開したわけです。
具体的には,きのうの復習から入っていったわけですが,きのうは実は(参考図1)の手順をふんだ計算が,なかなか大変だなあ,という声がいっぱいあったので,今日は,きのうは大変だったよね,うん,なんて言ってくれるかなと思って,TP1,TP2を見せたんですが,全然きのうの雰囲気とは別になってしまって,大変だ,という反応がなくて,子供たちのうごきに戸惑ってしまいました。
今日の授業で,一番シーンとした場面ではなかったかと,授業をしながら感じていました。かけ算にも,筆算があれば便利だということを,強く感じさせるには,どうしたらよかったのか,一つの問題として残ったと思います。
A 解決策の2番目,児童が自分の力で考えられるような手がかりを与える,ということですが,今日は,その手がかりを,意図的に3か所に設定しました。
●一つは,前時の復習を(参考図1)でやったんですが,今日筆算の方法を説明するときに,あれがみんな使えなければならない。ですから,一応きのうの復習の形になってはいるけれども,実はヒントになっているわけです。
●二つ目は,筆算に気づかせるためのヒントのところで,たし算やひき算の例を持って来て,そこからかけ算にも筆算ということを考えてくれるんじゃないか,ということで用意しておきました。
●三つ目は,筆算の方法そのものは,きのうの中身ができていれば,そう難しいところではありませんから,できるとは思ったんですが,ただあんまり何の抵抗もなくすうっと入ってしまうと,そのものが深まらないし,その良さが印象づ'けられないと思って,その時につまずく恐れのある例として,左図の例を用意しておいたわけです。以上の三つの点など,どうだったでしょうか。
B 解決策の3番目,学習の成果を自覚させる工夫,ということですが,このことが,次の学習に対する期待とか意欲につながる大切なことだと思います。面白くて大変よかったと思う子は,またやってみたくなるという気持ちになるでしょうから,そういう気持ちを毎時間持たせられれば,もっと活発になるのではないかと思っていますから,今日は,それを二つの場面で意識していました。
●一つは,きのう作り上げた筆算の方法(参考図1)と比較する場面で,今日やったことは,きのうやったのよりはなかなか良い,わたしたちの考えたのは良い方法なんだということを,強く感じ取らせようと思ってやりました。
●二つ目は,できるようになった実感というのでしょうか。自分がそのことをできるようになった,別な数値の場合でもできたという,そういう喜びを味わわせたいと思った。そういうことが,学習の成果を自覚させることになると考えていますが,これらの点など,どうだったでしょうか。C 今日の授業について,子供たちにチェックしてもらった結果は,TPの通りでした。