研究紀要第39号 授業研究と評価 2-1-2方式の授業研究 - 012/038page

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(2) 指導内容1について

司会 鈴木先生から,今日の授業の意図と,反省などをとりまとめてお話し頂きました。それでは,過程にそって話し合いを進めたいと思いますが,観点の欄,そこには,主題との関連がとかとかで表されていますし,本時の具体的な目標が@,Aなどで表されているわけですが,そのへんに十分留意していただきまして,ご意見などお聞かせ願います。

では,指導内容の1,前時の計算の方法について話し合い,本時の内容をつかませる,というところで,お気づきの点がありましたらお願いします。

   (省   略)

H 観点のNo2のところですが,鈴木先生苦労なさって,かけ算の筆算のところに持って行かれたんですけれども,あそこで,わたくし,こんなことを考えていたんです。先生が前時にすごくていねいに良く指導されていたので,子供たちは,(参考図1)の計算の仕方がよくわかって,身についていて,長くて困ったという感じは持っていなかった。あまりきのうの授業が良かったので,もっと早く,正しく計算できる方法についての必要感がでてこなかったのではないかと思いました。

わたしが観察していた54番の子供は,「きのう間違ったひと,」というときには手を上げたんですけれども,「長くて困った,いっぱい計算しなくてはならなかったね。」と,先生がいわれたとき,ちっとも困った顔をしていなかった。この子さえもそうだったのだから,きのうは本当に良く理解していたんだなあと思いました。それで,ひとつ,こんなことはどうかなと思ったんですが……,それは,「用意,ドン」で,子供たちはきのうのやり方で計算して,先生は筆算でやってみるとか,そんなふうにして先生は早く正しくできた,だから,そこから筆算を考えださせてはどうだったかなと考えたわけです。

司会 そうしますと,「用意,ドン」でやったとしますと,先生は筆算でやってしまうわけですね。

H 筆算は見せないでおいて,答えだけみせるようにしたら。

司会 答えだけ教えるわけ。

H 「先生だから早いんだ」なんて確かでてくるかも知れませんが,「先生は違う方法でやったんだ」なんていうと,それはどんな計算方法なんだろうと興味を示すのではないかと思うんです。

司会 というようなご意見なんですけれども,ほかの先生方はいかがでしょうか。

M わたしもH先生がおっしゃった点について,そこから筆算を持ちだしたらどうかな,と思っていました。

Y わたしは,たし算,ひき算の筆算を思いおこさせて,そこからかけ算の筆算を思いつかせようというやり方は,さすがに先生お上手だなあ,と思って拝見していました。既習事項を手がかりにして,子供たちに考えさせるやり方で,あれはあれでよかったと思います。ただ,わたしは,63番の子供を観察していたんですが,初めは大変元気よく答えていてすばらしいな,と思っていたんですが,いまH先生のいわれた点,その辺でちょっと戸惑ってはいたようでした。

司会 いままでの先生方のご意見をまとめてみますと,あそこは,H先生のようなやり方もあったんではなかったかな,ということになります。鈴木先生は話し合いで,必要性をひっぱり出されていったわけなんですが,H先生のやり方では,いっぺんにこうぱっとわかる感じもしますね。そういう場合の数字の取り上げ方ですね。鈴木先生は,前時に使われた32×3を持ってこられたわけですが,H先生だったらどんな数字を持ってこられますか。

H 32×3は答えがわかっているので,これはまずいですね。その場合には,違う数字を持ってこなくてはなりませんね。

鈴木 かけ算の筆算は初めての計算だったのでね。勉強というのは,いつも前に習ったことを使うとできるんだ,ということをいつもくり返して言っているわけです。だから,何か困ったら,前に習ったことで使えそうなことがないかどうか,使えそうな手掛かりを集めようと,いつも言っている


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