研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 007/049page

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 経営評価が総合的,客観的評価をめざす以上,評価の領域は学校経営活動全体に及ぶものとなり,領域の数も多くなりがちであるが,必要かつ最少限におさえるように吟味した。

表2 学校経営評価の領域

系列
学校経営の領域
経営評価領域
目標系列
教育目標
教育計画
1 教育目標
2 教育課程
3 教科指導
4 道徳教育
5 特別活動
6 生徒指導
7 健康・安全教育
8 学校行事
9 学年・学級経営
条件系列
人的領域
1 個人の満足感と意欲
2 人間関係
3 校務分担
4 研修
物的領域
1 施設・設備,教材・教具
財的領域
1 予算配分と執行
2 会計
運営領域
1 組織機構と執行
2 企画・運営委員会,各種委員会
3 職員会議
4 情報
5 PTA・地域社会
6 学校経営評価

3 評価の要素

 評価の領域が設定されたあと,領域ごとにその領域を構成する中核的な事項(要素)の設定と要素に付随してその基準を特徴づけている状況や条件に対する視点(評価観点)を洗い出すことが大切である。この作業を慎重かつ綿密に行わないと,評価の領域が定まっても,領域の中の何をどう評価すればよいかの基準性が薄れ,折角の評価の試みも,はじめの意図に反する結果にもなりかねない。

 本研究の評価の要素の設定にあたって,最も留意したことは,学校経営評価を動態的にとらえようとしたことであった。学校経営を動態的にとらえようとする意図は,経営をP・D・Sのサイクルでとらえていること自体が,そのことを示しているのであるが,それとともに要素や観点を,動態を表す観念とどのように結びつけるべきかということに,鋭意努力したつもりである。

 評価要素の設定にあたっては,学校経営の展開の全過程を予想し,学校経営全体の筋道と領域ごとの展開過程を分析・抽出することにより重要項目を設定し,時間の流れと関連機能の観点から図表化(流れ図化)した。次に図表化された重要項目を,計画−実施−評価に該当する項目ごとに統合・調整し,最もかかわり深くかつ中心的であると認められる項目を,学校経営の評価領域構成要素として取り上げ,評価票における評価の要素を決定する際のよりどころとした。

 抽出した評価要素は,領域ごとに計画(P),実施(D),評価(S)のそれぞれ二項目ずつに整理し,各領域ごと六つの評価要素におさえることにした。これは計画−実施−評価の経営過程全体の実態を把握するために,許容される範囲の操作であると思われる。さらに,評価の実際面では領域ごとの六項目の評価要素は,そのまま評価観点の数と一致するので,評価の実施及び評価後の処理の上からも便利であり,実用的であると考えられる。

 評価要素設定後は,引き続き評価観点の設定作業に入るわけであるが,評価観点そのものについては,巻末の評価試案の年度末用票(A票)により説明を省略する。なお,評価観点の設定作業及びその手順等については,次の「評価試案の特色」の項で簡単に触れることにする。

 また,ここの項で説明を加えてきた「評価の要素」の設定作業のために学校経営全体の過程を図式化した「学校経営の過程分析」と,それにもとずく「評価領域構成要素」は,表3として「経営評価領域構成表」にまとめて載せた。


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