研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 021/049page
2 学校経営評価票の使用方法
当評価試案は,学期末用と年度末用の二種類の評価票を作成している。評価票の開発にあたっては,両者ともに次の四点に留意し,客観的,総合的な評価とともに,動態的な評価ができるよう配慮した。
○ チェック・リスト的であること。
○ 数量化した結果により,客観的な評価が可能であること。
○ プロフィール等に表すことで,全体の傾向を総合的にとらえることが可能であること。
○ 文章記述を取り入れ,問題点や反省,改善策の提案等についても,全職員の生の声が反映されるものであること。
二種類の評価票を使用して経営評価を実施することになるが,そのためには,評価票の使用方法と同時に,集計票の活用方法も十分理解されることが望ましい。以下,評価の手順に従って,学期末用評価票及びその集計票,年度末用評価票及び集計票の使用方法について,具体的な事例をもとに説明する。(1) 学期末用学校経営評価票による経営評価
@ 評価票の様式
巻末の評価試案の学期末用評価票(B票)のとおりであるが,その一部を抜粋して,表11に紹介する。
A 経営評価実施上の留意点
ア 学校経営評価を実施する前に,必ず経営評価の意義やねらいについての共通理解を図る場や機会を設けるよう留意する。
イ 評価票に記入するときは,学校経営に関する認識を深めるように十分な配慮をし,評価の観点があいまいに解釈されないよう留意する。
当評価試案においては,評価要素及び評価観点に基準性を含めてはいるが,評価尺度は評価実施者の主体性にまかせている。従って,評価以前の評価観点の認識・理解が重要になってくるので,当研究にてまとめた「学校経営評価領域構成表」や「年度末用評価票の評価観点」等の資料を事前に配布し,全職員による意思の交流と共通理解が図られるよう配慮する。
ウ 自校の経営全体の姿を全職員が十分把握できる資料を事前に準備する。
経営評価は,自校の経営の実態を全職員によって認識されることが大切である。自分の部や係,または特定の役割分担だけにこだわらず,どの領域,どの評価観点についても,自校の実際の様子を把握した上で,客観的な評価ができるようにつとめたい。
そのためには,学校独自の教育目標の記録,年間指導計画,学年経営・学級経営計画等・全ての計画や記録等が全職員に周知され,または,常に閲覧できるよう配慮する。B 経営評価票の記入の仕方
ア 氏名について
評価者の氏名は,記名・無記名のいずれでもよいという方式をとった。それぞれの学校で統一した見解により実施する。
イ 「反省・評価………」について
自由記述であるが,評価領域の全部にわたって記入しないこともありうる。記入者自身の自由な判断を尊重し,記入の必要があると思われる領域について,簡潔に記入するように指示する。