研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 031/049page

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3 考察

 調査結果を調査のねらいに対応させ,設問ごとの考察を行ったあとで,試案全体についての考察を加え,当試案についての調査のまとめとした。

(1) 設問ごとの考察

@ 経営参加への意識の傾向はどうか(問1)
問1

 「学校経営の実態をとらえるのによい機会」と80%が答えている。このことは,この評価票のねらいを十分理解して活用したことがうかがわれるとともに,学校経営の実態をとらえるには,かなり有効であると判断することができる。また,「自分の意見を経営に反映させるよい機会」の18.4%を加えると,98.4%が経営評価を肯定的にとらえていることがわかる。学校経営は評価から出発すると考えたとき,実態をとらえることの重要性が認識されてきたことと,経営参加への意識が高まってきたことが,次の意見等から推測できる。

○ 学校の状態をとらえるのによい。
○ 学校経営に役立つ生の声をとらえるのに役立つ。
○ モラールの向上にも波及してよい・
○ 今まで手の届かなかったこと,気付いていても手が出せなかったことについて反省できたのでよかった。有効。
○ 学校経営評価の実施は,改善策の視点を与えている。
○ わたしたちが組織体の一員として,組織の機能を最高度に発揮させるために,全員参加の経営評価は意義がある。

 しかし,なお,1.6%は,経営評価の意義を認めていないことも分かる。学校の実状に応じた適切な方法により,無理のないように意図的,継続的に経営評価を実施することにより,教職員の経営参加への意識を高め,モラールの向上を図る重要な契機として機能することが分かる。

A 経営評価票による経営評価の方法はどうか(問2)
問2

 「経営評価票による方法がよい」が46.7%,「話し合いの場を設けるのがよい」が,44.3%とほぼ半々の反応を示している。設問の仕方にまずさがあったためかと思われるが,「その他」の反応9%の事由を見ると,全員が評価票と話し合いの併用を望んでいることから推測すると,「評価票」だけ,「話し合い」だけどちらか一方の経営評価の方法よりは,「評価票」と「話し合い」の両者を併せた経営評価の方法が,より重要であると認識しているように考えられる。

 評価の手順や組織の項でも述べたが,経営改善をめざす経営評価においては,評価票と話し合いの方法が当然交流されるべきであり,反応に表れた結果もうなづけるわけである。特に,動態的な経営評価においては,評価票の方法だけでは不安が残り,それに加えて,全体会による意思の交流が重要なポイントになるので,「話し合いの場を設ける」と反応した職員の考えは,極めて妥当な意見であると考えるべきであり,「評価票の方法」を否定していることにならないであろう。

 自校の経営の実態を評価票の結果で把握するだけでなく,話し合いによって問題点,改善点を見い出すようになって,はじめて経営評価のねらいが達成されるとする職員の意識が十分反映されているとの考えを裏付けるものとして,次のような意見が述べられている。

○ 経営評価票による集計結果をもとに,今ま


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