研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 032/049page
で行ってきたような話し合いを深めるといった二者併用の方法により,改善の足がかりとすることが効果的である。
○ 評価結果の集計・分析と問題点,改善点の把握の作業を一連のものとして進めなければ,効果は弱くなるであろう。
○ 評価票による学校経営の実態を把握する資料がなくて,年度末の話し合いや反省会だけで経営改善を図ろうとする場合は,会がその時の気分,話し合いの雰囲気で流れやすく,的確な判断ができない。
全体会による協議や話し合いは,評価の手順に組み込まれており,「考察資料」の作成も評価作業の一過程として位置づけられているわけであるから,「評価票」と「話し合い」の両者は,経営評価における必須の条件になるといえるのではないか。
B 経営評価票は学校の実態をとらえているか。(問3)
ここでは,二つの設問から経営評価票による実態把握についての検証を試みようとした。
以下,小問ごとに考察を加えることにする。
問3−1のプロフィールの傾向と実態の把握については,「プロフィールの傾向はかなり正確」が15.4%,「ほぼ妥当な線を示している」が81.9%で,両者を併せると97%の高率で,自校における学校経営の実態と照応しているとする反応が示されており,事前の予想どおりに評価試案の妥当性を実証していると考えられる。
しかし,プロフィールに関するものとして,次のような意見が寄せられているので,プロフィールによって数量化,客観化された資料の取り扱いについては,学校の実状に応じた慎重な態度が望まれる。
○ プロフィールに表れた陥没点の指摘に動揺したり,そのための功罪のみに議論がわいたりすることは,本評価の意義・ねらいからはずれた対応といわざるを得ない。あくまでも,経営改善の一資料として冷静に受けとめたい。
○ プロフィール化された資料を見て,学校全体の傾向とする見方だけでなく,各々の校務分掌上の責任とする見方をすることも予想される。ここでも,各係や組織の責任を強く意識させない配慮が大切である。
○ 小規模校では,職員数が少ないため,プロフィールのふれが大きく,不安が残る。
○ 日常の評価しにくいもの,必要をあまり感じないものについては,評定が低く表れる傾向が見受けられる。プロフィールにこだわりすぎないで,あくまでも全体の傾向把握の資料として活用したい。
問3−2の改善点の指摘については,60%の人員が「改善点の指摘は当を得ている」と反応している。今回,全部の協力校が記述式の期末用評価票も併用しており,その記述内容を土台として改善点等について整理し,「経営改善考察資料」を作成した。この「考察資料」に指摘されている改善点については,「その指摘は半々」とするものが約40%弱あるが,これは,改善点のみをもとに経営改善及び次年度計画改善を図ることの危険性と,職員会議等の全体会で十分話し合い討議する必要性のあることを示しているデータと考えられる。問2の反応に表れているように,評