研究紀要43号 学校経営改善に関する研究 学校経営評価に関する研究U (第2・3年次) - 034/049page
問4−2の評価観点の表現については,「この程度でよい」は約80%弱であり,ほぼ予想どおりの結果であるが,「表現不適当」約15%の反応や,自由記述に見られる次のような意見等を考えあわせ,今後の活用にあたって各校の実態に応じた評価観点の表現についての吟味検討することが望ましい。
○ 本校の実態にそぐわない表現がある。
○ 表現を不適当と判断している職員が半数近くいる。このままで活用せず,学校の実状に応じた表現の吟味・修正が必要であろう。
なお,その他評価観点個々に関する具体的な意見もみられたが,これらのことを十分尊重し,評価観点について加除・修正を加えた。
問4−3の評価試案の活用について,「自校化して」とする反応が80%に達していることは,当評価試案に対する反応が学校の主体性にもとづいていると判断できる反面,要望も含まれているという受けとめ方をして,試行後の評価票の改善に生かしたつもりである。
ただし,試案である以上,県下どこの学校にも適応する評価票の作成には,おのずと限界があることは当然のことと考えられる。
従って,試案をもとに各学校における主体的な経営評価をめざす「自校化」が期待されるゆえんである。(2) 全体の考察
評価試案の試行による調査結果は,集計表及び設問ごとの考察どおりであるが,以下,評価試案全体をとおしての考察を加えて,評価試案に関する調査のまとめとする。
設問ごとに調査のねらいと調査後の反応を予想したが,ほぼ予想どおりの結果となって表れたことや,次の意見や感想等からも,当評価試案の実用性,妥当性が幅広く認められたと見てよいのではないかと考えられる。(意見,感想の一部は,設問ごとの考察と重複するものもある。)
○ 学校の状態を系統的・全体的に把握することができる。
○ 手の届かなかったこと,気付いていても手の出せなかったことの評価をするのによい機会となる。
○ 組織の機能を最高に発揮させるのに,部分的な停滞や逆行を修正する視点を与える。
○ 個人の主観に頼りがちな反省を,客観的な評価に導く転機である。
○ 特定の観点からの自己のきびしい評定ができる。
○ 実施によって,校内のモラールの向上に波及するものと考えられる。このほかにも,当評価試案に対する多くの意見が寄せられているので,それらの貴重な意見を集約し,評価の実際面をさらに充実するよう吟味検討を加え,試行後の評価試案の改善に生かしたのであるが,次に,その改善,修正のための視点をいくつか紹介する。
○ 評価領域ごとに自由記述欄を設け,学校経営のより動態的な側面の評価ができるように配慮した。
○ 評価観点を具体的でわかり易い表現にするとともに,動態的な視点からの表現を工夫した。
○ 評価観点の内容を領域個々の特質に即して詳細に吟味検討し,基準性をもたせるようにつとめた。
○ 「経営改善考察資料」作成にあたって,プロフィール等の数値のみで判断せず,自由記述欄の意見を尊重できるよう配慮した。評価試案の全体にわたって以上のような検討,修正を加えるとともに,評価票及び集計票の形式についての若干の修正等をとおして,同試案が現代における学校経営評価の評価票としてふさわしい役割を果たすことができるように,量・質両面の充実につとめた。なお,当紀要の中で協力校の実践例を紹介し,現場における各学校の実状に応じて当試案が活用できるよう配慮