研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -000-01/063page

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 ま え が き



 小・中学校が新教育課程の実施を迎えたのを機に,教育現場においては,学校経営のあり方を問い直し,経営の質的改善を図ろうとする試みがをされていることは意義あることである。
 近年,学校経営については,一般経営学の考え方や手法を採りいれた,いわゆる動態的経営による教育効果の向上をめざした試みが行われるようになるとともに,学校経営の中核としての教育課程についても,編成,実施,評価・改善の各活動を一連の経営過程の中で相互・関連的にとらえようとする理解が深まってきている。このことは,教育課程の基準の改善に関する答申の中で強調され,最も期待されている各学校の主体的を学校経営の確立につながる,現代に見合う新しい教育課程経営観の樹立ともいえよう。
 当教育センターでは,このようを新しい教育課程経営への構想確立と,その実現が求められている教育現場の今日的課題に着目し,本年度より3か年計画で,「教育課程の経営に関する研究」を進めてきている。本研究は,教育課程経営に関する基本的事項の解明とその実際について,実証的研究をめざすとともに,あわせて,新教育課程にかかわる実態を総合的にとらえ,その資料を各学校に提供することにより,教育課程経営の改善・充実に役立つことを意図した研究である。
 研究第1年次に当たる本年度は,3か年にわたる本研究の基盤となる教育課程経営の意義や機能,教育課程の経営的発想による見直しの観点など,基本的事項に関する理論研究と,小学校における教育課程経営の実際とを関連づける方向で研究を進めてきた。教育課程経営に関する理論や文献が現状では数少なく,当教育センターとしての理論を明確にうちだすまでに至らぬ点がないでもないが,現段階における理論の構築には最大限の努力を試みたつもりである。今後,本紀要で明らかにされた研究課題を追究し,研究構想に基づく体系的な研究を進め,教育現場の実践に生きる研究として,その実をさらにあげていくつもりである。
 本紀要が,それぞれの学校において,創意ある教育課程経営の実践の一助となれば幸いである。本研究の推進に当たって,各研究協力校及び調査依頼校の先生方には,校務多忙の中を特段の御協力をいただいたことに,改めて感謝の意を表する次第である。

  昭和57年3月

福島県教育センター所長 佐 藤 信 久


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