研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -007/063page

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V 研 究 の 基 盤


1 学校経営と教育課程経営
本研究の基盤とをる教育課程の経営に関する理論を構築するに当たっては,はじめに,学校経営の概念や機能を明確にとらえることが大切である。このために,基本となる事項として,次の三つをおさえた。
 ○ 学校経営現代化の方向にそった学校経営概念の把握
 ○ 学校経営の構造的を把握
 ○ 学校経営改善に資する学校経営評価の意義
 これらを的確に把握することによって,学校経営の中核としての教育課程経営の基本的な考え方及び,本研究の方向性が確立されるものと思われる。

(1)学校経営の意義と機能
 1 学校経営概念の把握
 学校経営の概念については,紀要第43号の中で,「教育を行う機関としての学校が,学校教育本来の目的を効果的に達成するにふさわしい組織と運営を実現し得るように,校長を中枢として必要な人的・物的及び教育活動に関する計画を設定し,その展開を行う作用である。」と述べている。この学校経営概念の把握は,次の二つの観点から吟味されたものであり,現実の学校経営の実態に照らした場合,教育現場にとっては最も理解されやすいものであろう。教育課程の経営についても,この二つの観点を主軸として考えられなければならない。
 ア 学校経営を学校教育の特殊性(企業は利潤の追求が最終の目的であるが,学校は子どもを育て教育の効果を高めることが目的という恒久的課題をもつ。)から見直し,学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動や教育的機能に焦点をあてた見方をすること。
 イ 学校経営を学校組織の特質(企業は大きな組織経営体であり,末端の各係や役割分担がそれぞれ独立していて管理体系もはっきりしているが,学校は比較的小さな組織経営体であり,一人の教職員が各種の係や分掌に所属して総合的,協働的なシステム下にある。)から見直し,学校の組織・運営が内部的に相互に関連・調整し合い,経営過程に即して経営的機能が発揮される動態的な経営観にたった見方をすること。
 2 学校経営機能の構造的把握
 前述のような学校経営観にたって,学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動及び経営活動を見直す場合,実際の学校経営においては,この両活動を構造的にとらえて取り組むことが必要になってくる。このことについて,原  実氏は,次のようを二つの系列に統合できるという考え方を紹介している。
 「一つは,学校における教職員の専門的な活動の中心となる教育活動の系列である。教育目標を子ども一人一人に具現化するため,教育課程にそって展開される教授―学習の過程としてとらえられる一連の教育目標達成の系列であり,一般に目標系列としておさえられているものである。この目標系列の機能は,学校教育本来の目的を達成するための教育的機能である。
 また,もう一つの系列は,目標系列に属する教育活動が効果的に機能するように支援促進させる経営の4要素にかかわる系列である。教員(人−men),施設・設備や教材・教具(物−materials),予算(財−money),それに,

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