研究紀要第45号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -008/063page

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この三つを組織的に運営するマネージメント(運営−management)の4Mの条件整備と操作に関する系列であり,一般に条件系列としておさえられている。この条件系列の機能は,目標系列を支え,学校の組織・運営を維持発展させるための経営的機能である。」(註1)同氏は,二系列の関連を左の図のようにまとめ,学校経営とは,この二つの系列を,より機能的に結びつけをがら目標系列のはたらきを推進していく営みであり,両系列の矢印を経営の実際においてどう結び直すかが問われると結んでいる。
 当教育センターでは紀要第43号において,学校経営における本質的な機能を,目標系列と条件系列におさえ,教育活動と経営活動を統合的に把握することにより,学校経営の機能や頒域を構造的にとらえようとしている。これは,同氏が,二つの系列を相互の関連においてとらえることが,動態的な経営をとおした学校教育の現代化につながるものであると強調している点に特に着目したからである。

「学校経営の概念化」 原  実
「学校経営の概念化」 原  実

3 学校経営評価の意義と機能
 学校経営の評価は,教育組織体としての学校が経営改善のために行うことを最終の目的としたものである。従って,評価の結果そのものが,すぐさま価値判断の対象になったり,価値判断のみに,そこでとどまったりするものではなく,評価の過程や結果として得られた評価資料が,次期の学校経営の計画策定と直接結びついて効果を発揮するところに,評価本来の意義があるのである。当教育センター紀要第43号では,学校経営評価の意義について,前に述べた学校経営概念や学校経営の構造的な考え方を基盤として次のようにまとめている。
 「学校教育本来の目的を効果的に達成するための教育活動及びそれを支援促進する経営活動が,教育の効果をあげるにふさわしく機能しているか,その状況を総合的・客観的に評価し,学校経営の改善を図ること。」
 また,学校経営評価の機能についても,「現代の学校経営の実態から考えると,経営評価を単に部分的・断片的な結果を見るための機能と考えるよりは,全体的・巨視的な立場で総合的に判断しようとする動態的な評価であると考える方向へ,質的な転換を図らなければならない。」ととらえている。これは,学校経営が,計画―実施―評価へとマネージメント・サイクルにのって円環的に動く中で,経営評価もまた,計画,実施,評価の各段階がそれぞれ個別に一段階としてとらえられるだけでなく,計画―実施―評価―計画改善に至る一連の経営過程の中で相互関連的にとらえられなければ評価の機能が生かされないということに対する認識に基づくものである。
 学校経営評価は,このように学校経営を望ましい姿に維持・改善を図るための,貴重な契機を与えるものであり,その機能を十分に発揮するためにも,総合的・客観的な評価ができるよう配慮することが大切である。

(2)教育課程経営の位置づけ

 教育課程は,学校教育の目的・目標を達成するために,教育の内容を児童・生徒の心身の発達に応じ,授業時数との関連において総合的に組織した教育計画であると一般的に定義づけられている。このような定義によるまでもなく,一人一人の児童・生徒に対し,教育目標の実現をめざして行われる教育課程の経営が,学校経営の中核であるということは,学校教育本来の

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