研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -000-01/038page
ま え が き
生まれつきの非行少年がいないように,生まれつきの登校拒否児もいないといわれている。このことは,「人間は無くの状態でこの世に生を受け,後天的にいろいろと染まっていく」ことの証(あかし)でもある。
子供の中には,生育の過程で,なんらかのひずみを生じ,それが,登校拒否という結果を生起し,本人及びその家族が,苦労に満ちた日々を過ごしていることもまた事実である。
登校拒否の原因や経過はさまぎまであり,決して単純をものではない。
学校でのいろいろな刺激に対しての耐性が習得できなかったり,家庭や学校での不安や葛藤をいやすだけの心の安定感を得られなかったりしたことが,引き金になっているという事例もある。
登校拒否の相談が増加する傾向に対処するため,当教育センターでは,すでに,数年前から,登校拒否についての事例を中心とした研究を行い,その成果を,研究紀要や教育センター所報に発表してきているが,本年度は,これらの研究を基にしながら,新たな視点に立って,登校拒否の理解と指導について,事例を加えをがらまとめたものが,本報告書である。
なお,本研究が,各学校において,学級担任・ホームルーム担任をはじめとして,すべての先生方に活用され,今後の教育相談活動の向上のために役立つことを願うとともに,日々の教育実践の中で,十分に御活用いただいたうえで,きたんのない御批判をお願いする次第である。
昭和57年3月
福島県教育センター所長 佐 藤 信 久