研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -021/038page

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(7)指導経過

本人に対するカウンセリング

指導方針とのかかわり方

両親(特に母親)とのカウンセリング

1

 

 

 

5

● あたりさわりのない話をして来所することへの抵抗を除去し,遊戯療法を行う。
・ 非常に緊張しているため頻尿傾向がでた。そのためひんばんにトイレに行った。
○ 父:たたかれて,外になげられるのでこわい。
○ 母:おこってばかりいるが好きだ。
○ 先生:あまりよくわからないがやさしい。
○ 友達:したしい友達はいない。
○ 風呂をわかすのが遅いので10時にならないと入れない。
 その後,ふとんに入る。
○ 家の中で,妹と遊んでいるだけで,友達と遊ばない。
○ 学校は好きで,学校に行っているときは,サッカーなどをして遊んでいる。
※ 人物画テストを実施する。
 カウンセリング中でも視線を合わせず,身体や顔の表情もかたい。
 主訴内容についてのきき出しは,初回でもあるので行わない。
・ 来所したことに,楽しい印象を与えるようにする。
・ 分離不安なので最初は,母と妹も一緒に遊戯室に入れて遊ぶようにする。
 その都度,話を整理して,主訴を明確にした。
・ なぜ攻撃的な行動をとるのか考えさせる。
 ・ 家族関係をつくり直すように話の中で気づかせる。
・ 母親自身の情緒安定が先決であることに気づかせる。
・ 生育歴を聞きだす中で,今までの養育態度について,考えさせる。
・ 夜尿や頻尿傾向が,体の病気でなく,心理的な問題であることに気づかせる。
・ 心理検査の結果を説明し,本児の場合は,主に母親の過保護が問題であることをわからせる。
● 主訴の内容についてききだす
・ 早い口調で,自分の主張ばかりいい続けた。
● 特に,夫との関係や本児へのかかわり方について,しぼってききだす。
・ 夫は仕事にばかり熱中し,家庭のことはかえりみない。
・ 夫は,厳しくしつけることが一番だと言っている。
・ 本児は,妹にいじわるしたり,いじめたりすることが多く,注意すると,さらに,いじめる。
・ しかってもべたべたついてくる。
● 生育歴についてききだす。
・ 本児は,さか子で生まれた
・ 母乳でなく,ミルクで育てた。
・ 厳しくしつけた。
・ 小さいときから,頻尿傾向と夜尿があり,現在も続いている。
※ 親子関係テスト,エグゴラムを実施した。カウンセリングでは,しきりに,自分の主張の方が,夫より正しいと早口でまくしたてていた。
2〜4

 

6

● 遊戯室で攻撃性をださせる等の遊戯療法を行う。
・ ドラエモンの風船にはげしくなぐりかかったり,足でけとばしたりする。
・ キャッチボールは,ボールの強さや高低で,心の動きがわかるので,キャッチボールで人間関係づくりをはじめる。
・ 妹を遊びに入れたら,安心して遊びはじめた。
・ トンネルくぐり,積木遊びに夢中になっていた。
・ 遊びに工夫がでてきたせいか,自分から進んで遊ぶようになった。
・ 母や妹と離れて他の人と遊べる気ざしがみえはじめ
 できるだけ攻撃性をださせ,攻撃性を発散させるようにする.
・ 人と人との接し方を,遊びを通して気づかせる。
・ 遊び方は,工夫しだいで,楽しく,しかも,どこででも遊べることに気づかせる。
・ 心のうちを無意識にださせるような遊びを選んで遊ばせる。
・ 自分から自由に遊びを選べるようにすることで,自我をださせる。
・ 母や妹からしだいに離れて遊べるようにする。
 自分のことばかり夫婦でいいあっていることに気づかせ,是正できるようにカウンセリングをする。
● お互いが,認めあえる家庭づくりと,子供の接し方について話し合う。
・ 自分のことばかり言わず,夫の考えも聞けるようになった。
・ 子供の行動をよい方に解釈してみれるようだ。
● 父親の教育方針の片よりについて話し合う。(父親と母親を一緒に)
・ 厳しくしつける必要があることを,父親は主張してやめない。
・ 母親に矛盾を指摘されて,考えこんでいた。
● 子供が,少しずつ変わってきていることに気づく。
・ 家の中で遊んでいても,妹

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