研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -022/038page
回 本人に対するカウンセリング
指導方針とのかかわり方
両親(特に母親)とのカウンセリング
てきた。
・ 表情に明るさがみえはじめ,笑いがでてきた。
・ 遊戯室には,自分から進んで先に入るようなそぶりがみえはじめた。
・ 遊びの種類も多くなり,しかも,工夫や広がりもみえはじめた。
・ トイレも遊びの途中でなく,遊びがひと区切りになってから行くようになった。
・ 母親が無意識に子供を離せないでいることを気づかせるカウンセリングをする。
・ 父親については,子供に能力以上のことを無理に力づくでやらせることの是非を考えさせる。
・ なるペく子供が自由に遊べるように母親のかかわり方について考えさせる。
・ 子供と話しあってきめたことは,最後までやりぬくという強さをもつようにさせる。
・ 学校との連絡をたやさない。に乱暴しなくなってきた。
・ 遊戯室で母以外の人と遊ぶことを,楽しみにしているようだ。
・ 父親に子供とのかかわり方を考えさせる。
※ 父親が来所したので,親子関係診断テストとエゴグラムを実施した。
● 遊戯室では,自主性と社会性を育てる遊戯療法を行う。
・ 約束をきめて,チャンバラをしたので,手かげんするようになった。
・ 納得のいくような負け方をすると満足するようになった。
・ 本人もときには負けたりするようになった。
・ 約束も自分からつくれるようになった。
・ をわとびも,自分の目標 どおり,つかれるまででき るようになった。
・ 遊戯療法の途中でトイレに行くこともなくなった。
・ 学校のことも話し始めた。
子 攻撃性もやわらぎ,やさしさが出てきたので,学校の友達や他の友達と遊ぶようにする。
・ 自分で自分のことができるようにする。
・ 緊張をとき,リラックスできるようにする。
・ 学校のことも考えることができるようにする。
親 子供の変化を認め,子供についてのかかわり方に自信をもたせる。
・ 子供を積極的に安心して離せるようになったので,このかかわり方を持続させる。
・ 学校へ復帰したときのかかわり方について,考えさせる。
・ 担任と打ち合わせを密にさせる。● 遊び方や接し方にどのような変化がでてきたか話し合う。
・ 行動に自主性がでてきたような気がする。
・ 母親ばかりにまつわりつくことが少なくなったようだ。
・ 父親とも遊べるようになり 笑顔も多くなったような気がする。
・ 近所の友達と外で遊べるようだ。
・ 学校のことをしきりに言うようになったので安心している。
・ 勉強をやりはじめたので,安心している。
・ 担任の先生の家に遊びに行きたがっているので,行かせることにしたい。※ 7月14日学校に復帰したが,2時間授業を受けただけで早退する。 これ以後は,電話によるカウンセリングがはじまり,その都度,母親に対して適切なアドバイス,または,カウンセリングを行った。 ※ 7月14日担任からの電話により,今後は担任が引き継ぎ,行動療法的に行っていくことになった。
(8)考察
1 本人に対する遊戯療法は,心理検査の結果や本人の行動を分析しながら行い,攻撃性を発散させると共に,自主性のある生活態度を確立させるのに効果があった。
2 初回は,母親との固着が目立ち,不安が強く表出しており,頻尿傾向がみられた。そこで,母親へは,母親自身の性格と,本人への接し方に焦点を当て,カウンセリングをしたことが分離不安解消に役立った。
3 来談4回目に,父親も来所したので,父親とのカウンセリングを通じて,両親の養育態度のまずさに気づかせた。このことが親の態度の急速な変容を生起し,本人ならびに母親の情緒を安定させた。特に,誤った厳しさを持つ親の場合には,両親とのカウンセリングが大切であることを教えられた。
4 親は,担任と連絡を密にしていたので,再登校時においても,担任の細かい配慮がみられた。また,担任は積極的に,本人とのかか