研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -025/038page

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1 親の養育のまずさから,自我が未成熟で,社会性に乏しく,劣等感が強く,神経質創生格が形成された。
2 学習や友達集団の中での社会的技術にいきづまり,自分をよく見せようとする気持ちが強く働くために劣等感が生じ,その苦しみと不安から抜け出せず,思考も混乱し,登校拒否を起こしている。

(6)指導方針
1 本人に対して
 ア.自律訓練法の実施により,本人の不安や緊張を除去し,情緒の安定を図る。
 イ.カウンセリングを通し自分の問題(学習に対し到達目標が高すぎる。社会性が欠如しているなど)に気づかせ,さらにその問題を日常の生活を通し,いかに解決を図っていけばよいか洞察させる。
2 両親に対して
 ア.カウンセリングを通し,両親自身の情緒の安定を図らせる。
 イ.外面をよく見せようとするしつけや家庭教育を改め,本人の気持ちを理解し,愛情を基盤とする暖かい人間関係を築かせる。
 ウ.自主性や社会性を養う機会を多く与え,子供の自我の成長を図るよう親が努力する。また,親は子供を,あまり子供扱いにせず,子供に任せる。

(7)指導経過

本人に対するカウンセリング

指導方針とのかかわり方

母親に対するカウンセリング

1

 

 

6

 

○ 生活状況について話をきく。
・数学の授業での緊張が大きく,腹痛・頭痛が起こる。
・体育の授業は,自分が下手なのでやりたくない。
・自分には人より劣っている部分がある。その部分を人に言われるようで学校に行けない。
・弟とけんかするたびに登校できないことを言われる。家の人は自分の気持ちを理解してくれない。(つらそうな表情でこたえる)

※ Y−G検査・GAT・カラーテスト・自律訓練簡便法の実施
 よく来所してくれたこと,本人の悩みや不安について話させる。
・家庭及び学校生括の様子をきく中で主訴についてふれる。
 子供の様子をきき出し主訴内容を明確にする。
○ 明らかにされた問題点
・家庭の養育上の問題
・本人の性格及び不安状態
・学校不適応(学習及び友達)
○ 今後の指導方針の内容
・登校刺激をやめる。自律訓練法を家でも実施する。養育の改善等。
○ 主訴内容についてきき出す。
・朝,起こしに行ってもふとんの中で体をふるわせている。
・友達が自分より大人に見えるといって自信をなくしている。
・数学と体育のある日は腹か痛いといってよく早退した。病院の診断は「神経性胃炎」であった。(どうして娘がこのようになったか理解できないという表情で話す)

※ 親子関係診断テスト及びエゴグラムの実施
○ 今後の指導方針について話す。
2〜5
 7月

 

○ 最近の状況について話をきく。
・夜はねむれるようになった。
・2か月間生理が不順であったが正常に戻った。
○ 休学手続き・自律訓練法により情緒が安定してきた。
 母親の変容をうながす。
・母親の情緒を安定させ,外見をよく見せようとする態度を改めさせる。
○ 生活の様子をきく。
・自律訓練法は毎日実施。
・子供のことで職場の人から慰められる。そのことがつらい。
・数学が嫌いなことは自分に

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