研究紀要第49号 「登校拒否タイプ別治療方法の研究」 -027/038page

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本人に対するカウンセリング

指導方針とのかかわり方

母親に対するカウンセリング

15〜19

11

・12

った。
・HやYに週に一度は手紙を書く。HやYを招待し,手作りのケーキでクリスマスパーティをした。

こうとする意欲がわき,自信も出てきた。
・自分の方から友達を求める積極さがみられる。
・父親にセーターを編んでやり,母親よりうまいと父親にほめられた。父親に自分の将来について相談していた。
20〜23 
  1月
○ 最近の様子についてきく。
・家族と市内のデパートめぐりをする。
・Hに学校の様子をきく。自分がどうして学校に行けなかったか,自分の幼児期になぞがあるかどうかとHにきく。
・Yに自分は無理しなくなったら楽になったと話す。
○ 学校について抵抗がなくなってきている。
○ 親の変容により家庭の中に暖かい人間関係がでてきた。
○ 本人の自己洞察がすすみ治療的カウンセリングは終わりに近い。
○ どんな様子かきく。
・子供が,将来幼児教育に取り組みたいと言っている。
・自分の部屋を掃除し,数学の教科書をながめている。
・T高校のコンサートをYやHと一緒にききにいく。
・担任からの電話に自分から出て話す。表情が明るい。
24〜26 
  2月
○ 4月からの復学についてきく。
・一人でやっていける自信がついた。
・休学して得た経験を生かし,成績にあまりとらわれず,背のびをせず着実にやりたい。
子、親  客観的に自分をみられ,社会性も育ち,将来の目標も明らかになり,4月からの登校にも不安がないので,治療的カウンセリングを終了することにした。 ○ 今の両親の心境をきく。
・子供は4月から下級生と一緒に勉強するのだと言っている。
○・最近は安心して子供をみていられる。不思議だ。娘も父親に相談することが多くなった。

(8)考察
1 休学届により毎日学校を休んでいることからくる罪悪感や緊張感から解放されたことと,自律訓練法の実施が本人の情緒を安定させた。
2 宗教団体への参加等により社会的技術が養われた。また,2人の友人とのかかわりを通し,自分を飾らず,内面をさらけ出せる人間関係が作られてきたものと考えられる。
3 外面的な親子の触れ合いから,親が子供の心の中に深く入っていき,親子間に其の愛情関係が育ったこと。また,休学中,本人に「まかせる」養育態度でかかわってきたことが,本人の自我の成長をうながし,登校しようという気持ちを起こさせたものと考えられる。

7―(3)神経症的登校拒否 ―Bタイプ―

1.はじめに
 Bタイプとは甘やかされたために生じたもので,社会的,情緒的に未成熟で,困難や失敗をさけて安全な家庭内に逃避したものである。両親の養育態度は過保護,溺愛的なものが多く,子供はいわゆる内べんけいで,わがまま,耐性の乏しさがみられる。休みはじめは断続的であることが多く,行事があって勉強のない日だけ出席したり,逆に最低限度必要な試験だけ受けたりする者もみられる。問題意識は比較的乏しく,慢性化しやすい傾向がある。子どもの治療とともに,両親が強い態度をとれるよう指導することも必要である。

2.事例
(1)主訴  登校拒否−Bタイプ
(2)対象  S・T 中学校2年男子 14歳
(3)問題の概要
  昭和55年10月28日来所
 5歳ごろに「吃音(きつおん)」になり,H市立H小学校「ことばの教室」で過1回の指導を受けた。7歳時にF市へ,10歳時K市に転居した。両親はかわいそうに思い,過保護・溺愛的な養育態度となり,本児も吃音のため友達と遊びたがらず,家の中にとじこもりがちであった。10歳ころ吃音症状は消えたが,そのころよりわがままな言動がみられる


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