研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -000-01/071page
まえがき
当教育センターでは,昭和56年度より3年間の計画で「教育課程の経営に関する研究」を進めている。
本研究は,教育課程の編成,実施,評価・改善に至る活動を連続する経営過程としてとらえる,いわゆる動態的な経営により教育効果の向上をめざすという基本的な考え方に基づき,教育課程経営の基本的事項に関する理論的解明と,その実際について実証的にとらえ,教育現場の教育課程経営の改善充実に資することを目的として進めている研究である。
研究第1年次においては,教育課程経営の基本的な考えを理論研究をとおして確立し,これと県内小学校の実態調査を関連づける方向で研究を進め,その成果を紀要第45号として各学校及び関係機関に配付したところである。
第2年次としての本年度は,第1年次の研究成果をふまえ,今後の課題として明らかにされた,「評価より改善に至る過程の積極的な取り組みが教育課程経営の今日的課題であること」及び具体的な評価活動を推進する手がかりとしての「教育課程評価票(試案)開発に対する教育現場の要請」の二点に研究の焦点をあてて進めてきた。新教育課程の実施を機に,教育課程評価の重要性とその推進が強く叫ばれており,文部省の小学校教育課程一般指導資料でも,「新学習指導要領では,各学校の創意工夫を加えた教育課程の編成,実施が期待されているので,各学校は自らの教育課程充実のため,従来以上に教育課程の評価と改善に取り組む必要がある」と述べている。
このようなとき,本研究が果たす役割・意義は大きく,教育現場の実践に生きる研究として,一層の内容の充実を図らなければならないと思うものである。したがって,特に本年度より最終年度の第3年次にかけては,研究課題をより明確にし,研究構想を確立して体系的な研究が進められるよう配慮したつもりである。本年度研究には,第3年次研究の理論編の性格をもたせ,教育課程評価の理論の整理,県内小・中学校の実態調査とその分析,教育課程評価票(試案)の素案作成と研究協力校での試行を主軸に研究を進めてきたが,その研究内容を本紀要にまとめ,ここに刊行するものである。
各学校において,創意ある教育課程経営の実践の一助として,本紀要を紀要第45号と合わせてご活用いただければ幸いである。本年度の研究を推進するに当たって,調査を依頼した研究協力校及び調査依頼校の先生方には,校務多忙の中を特段の御協力をいただいたことに改めて感謝の意を表する次第である。
昭和58年3月
福島県教育センター所長 舟山 昇