研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -008/071page
第1年次の調査において,教育課程経営の各過程間における問題点と課題は前頁のように整理されたが,教育課程経営をめぐるマネージメント・サイクルの問題に焦点をあてて現状を分析した場合,教育課程評価から改善に至るS−P'の結びつきが最も間題視されなければならないことがわかる。即ち,教育課程の編成並びにその実施に努力を示したとしても,次年度教育課程の改善充実に直接かかわる評価の過程をおろそかにしては,マネージメント・サイクルの断絶の問題は解決されないし,学校教育自体の質的な向上は期待されないからである。
教育課程評価の意識の問題,全員参加の組織の確立や,評価時期など計画の問題,そして,評価票など方法の問題など編成・実施両過程に比べ現実的な問題は多い。しかし,教育課程がマネージメント・サイクルに乗ってダイナミックに展開される鍵がこのS−P'にあるとするならば,まず,これらの問題に積極的に取り組み,教育課程評価の現状を切り開いていかなければならないだろう。第2年次の研究が,総合的・客観的資料収集が可能な教育課程評価票(試案)の開発を意図した評価の過程に視点をあてたのも,調査結果と照らして考えた時妥当な研究の方向ということができよう。
2 研究の構想
(1) 研究の構想
教育課程評価に関する第2年次理論研究の構想を次のように設定して研究を推進していく。
[1] 教育課程評価の意義
教育課程評価の重要性・意義・ねらいの基本的事項については,第1・2年次調査からみた教育現場の現状と,新教育課程の趣旨の実現という二つの視点にたって追究する。
[2] 教育課程評価の周辺
教育課程評価の概念規定は特に行わず,参考文献の紹介をとおし,本研究でどうとらえたかを明らかにし,さらに,教育課程評価の際問題となる「アカウンタビリティ」と「教育評価と教育課程評価」の二点についての本研究の立場を明らかにする。
[3] 経営的発想に基づく評価
動態的な教育課程評価を軸にした経営的発想に基づく評価をどうとらえたかを,第1年次研究と最も関連づけて述べることにする。
[4] 教育課程評価の構想
第2年次理論研究の最も中核で,当教育センターの教育課程評価票(試案)開発の理論的根拠になる部分である。評価対象の経営過程分析をはじめ,研究内容に本年度研究の特色がだせるよう内容の充実を図り,第3年次に発展させていく。
(2) 教育課程評価票(試案)開発の計画