研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -021/071page

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は,編成・実施の過程はもちろんのこと,改善を含めた全過程にわたって行われてはじめての意義があるのであり,教育課程全般について評価し,教育課程経営全体の姿を総合的にとらえることにより,はじめて評価の目的を何に求めるかが明確になり,評価対象・観点も焦点化が図られるのである。

本研究が考える教育課程評価並びに,その評価票(試案)の開発の目指すところは,この教育課程経営の全体のプロフィールをできる限り的確に把握し,その上で,よりきめ細かな診断・評価を行い,改善方策の策定や次の計画改善の手だてを,それぞれの学校の実態に応じて講じることに役立てようとするもののである。

[3] 評慨対象の構成

教育課程は学校の教育目標達成のために各教科,道徳,特別活動の内容を,地域や児童生徒の実態に応じ,授業時数との関連においいて総合的に組織した教育計画であると,一般的には定義づけられている。この定義づけによるまでもなく,教育課程の構成領域については,各教科,道徳及び特別活動の調和のとれた構成でなければならない。しかし,児童生徒に直接かかわる目標系列の教育活動は,教育目標から日々の授業にいたる三領域の活動のみでなく,領域以外の全ての活動にも及ぶものである。教育課程の評価対象の設定に当たっても,この点に配慮し,教育現場における教育活動の実際に着目しながら,次の4点を考慮して設定することにした。

ア.教育目標より授業に直結する教育課程の領域


教育課程は教育目標の達成を目指して編成・実施されるものであり,教育目標及び目標系列の教育活動そのものでもある教育課程の内容を,第一の評価対象とし,特に詳細に診断し,その評価の目的が達せられるように評価対象・要素の構成を図った。教育課程の内容である三領域は,指導計画も授業も領域そのものであるから,評価領域と呼んでもよいわけであるが,「学校経営評価票」ですでに,評価対象を四領域に分けて,教育目標・指導計画,人的,物的,運営領域と呼んでいることと,三領域以外の評価対象との関連から評価領域とせず,評価対象と呼ぶことにする。

イ.学校全体を通して行う教育活動


目標系列に属する教育活動は,アの教育課程構成領域である,各教科,道徳,特別活動のみではなく,学校の教育活動全体を通して行う諸活動も含まれており,三領域ではないとしても,教育課程に含まれる内容である。そこで,これらの諸活動を第二の評価対象とし,第一の評価対象と大別して構成した。なお,生徒指導についても,学校教育全体で指導する機能概念なので,この評価対象に含めることにした。

ウ.目標系列の教育活動を支える関連活動


先に,教育課程評価の対象・範囲の項で,条件系列に属する経営活動のはたらきは,目標系列の教育活動と機能的に関連づけるとしたが,その中でも,「学年・学級経営」・「研究・研修」及び「教育課程の評価」は,特別に取り出し,第三の評価対象とした。この三つの評価対象は,条件系列というより,教育活動そのもの,または,教育目標,教育課程,授業等の教育活動との結びつきが強いからである。他の条件系列に属する経営活動は,これまで述べてきたように,第一,第二,第三の評価対象の中に,関連ある内容を含めるようにしたが,詳細については,後述することにする。

エ.文部省指導書「教育課程評価の観点」との関連


文部省小学校指導書「教育課程一般編」では,各学校が教育課程評価を行うに当たっての参考として,一般的な評価の対象・観点や個々の評価項目をとりあげているが,本研究における教育課程評価の対象設定においても,十分検討し,関連を図るべく考慮して設定した。


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