研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -003/090page

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言語活動中心の英語授業を進めるための一考察

―中学校―

教科教育部  大河原博美
         酒井 義浩

I.はじめに

言語学習について一番大切なことは,問題の解決ではなくて,習慣の形成と実行に関係している。それでは,一般に授業をふり返ってみる時,はたして,それを目指した授業が展開されているだろうか。とかく,文字面における理解を中心として,文法事項の説明や分析を行い,それを日本語になおすという一面的な指導になりやすく,音声と文字の両面において,言語を総合的に理解したり,表現したりする,いわゆる言語活動に至っていないのではないか。しかも教師によるone-sided teachingになりやすく,生徒はいつもpassiveな立場で行われているように思える。

このように,teacher-centeredの授業が行われている限り,教えたはずの言語材料は生徒の頭の中に死蔵されたままで,生きて開花することはできず生徒の主体性は生まれてこない。従って生徒は,やがて興味・関心を失い,英語の授業は教師のためのもので,自分たちとは何のかかわりあいもないものと思うようになり,ただ,学校の教科にあるからやる,入学試験にあるからやるといった態度になりやすい。

そこで,教師は,生徒の主体性をかきたてさせるために,授業の中に出来るかぎり参加させること,そしてそれはmeans of communicationとしての,聞くこと・話すこと,読むこと,書くことの3領域4技能を重視した言語活動が生き生きとしてなされていなければならない。すなわち,言語の実際の運用につながる授業展開がなされなければならない。実に,学習者に興味・関心を与えるものは,言語能力(competence)というより,むしろ,言語の実際使用(perfomance)なのである。彼らは,自分の学習した英語を実際に使用し,お互にcommunicationができた時,真に英語を学んだという満足感が生まれ,それが英語学習に対する主体的態度になっていくのである。

このような観点に立って,言語活動中心の授業のあり方について,中学校英語を中心に考察していきたい。

II.'学習指導要領からみた英語科の目標・内容

1.中学校外国語科の目標

学習指導要領に示されている「外国語科の目標」を下の図のように構造化した。

中学校外国語科の目標

2.領域別,各学年の目標

各学年とも「初歩的な英語」を用いて,1学年は簡単な事柄,2学年は事柄の概要,3学年では事柄の要点をそれぞれとらえながら,聞き・話し,読み,書くことができるとしている。

(ア) 聞くこと,語すこと

聞くこと,語すことについての各学年の目標

(イ) 読むこと

読むことについての各学年の目標


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