(ウ) 書くこと
3.領域別言語活動に関する指導事項
英語を理解し,英語で表現する基礎的な能力を養うためには,実際に耳や口や手を用いて,聞いたり,話したり,読んだり,書いたりする言語活動を行わせることが必要である。従がって,英語の授業においては,これらの活動が十分なされなければならない。ただ授業において,言語材料がこれら4技能のどの言語活動に適しているかを判断して行うことが大切である。その際に,次の指導事項に留意しなければならない。
(1) 聞くこと・話すこと
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(ア) |
話題の中心をとらえて,必要な内容を聞きとること。 |
(イ) |
話そうとする事柄を整理して,大事なことを落とさないように話すこと。 |
(ウ) |
相手の意向を聞き取って,的確に話すこと。 |
(2) 読むこと
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(ア) |
はっきりした発音で正しく音読すること。 |
(イ) |
文の内容を考えながら音読したり,黙読したりすること。 |
(ウ) |
文の内容を理解して,内容が表現されるように音読すること。 |
(エ) |
書かれていることの内容を全体として,まとめて読み取ること。 |
(3) 書くこと
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(ア) |
文を聞いて正しく書き取ること。 |
(イ) |
書こうとする事柄を整理して,大事なことを落とさないように書くこと。 |
(ウ) |
書かれていることの内容を読み取って,それについて書くこと。 |
4.言語材料における中学校英語と高等学校「英語I」との関連
学習指導要領を正しく読み取って,英語科の本質に即した授業に迫るわけであるが,実際の指導過程で,具体的な指導事項となるのが言語材料なので,それを系統的に配列しておく必要がある。これは,週三時間に的確に対処していく上でも,基本的,かつ重要なことである。
特に,高等学校において,昭和57年度より英語を選択する初学年の生徒を対象としてスタートした「英語I」は,中学校英語とのかかわりが最も大きい科目である。いわば,英語科の「中学校4年」と考えてもよいのである。それは,文,文型,語及び連語,文法事項等に「中学校で指導したものに,新たに次のものを加えて指導する」というように記されていることからもうなづける。このことは,中学校と高等学校の連携が,更に強くなったことを示している。
ここで,中学校英語と高等学校「英語I」の言語材料を表としてまとめてみた。
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中学校英語 |
高等学校英語 I |
文 |
単文,平叙文(肯定・否定),疑問文,命令文(以上1年),重文,複文,感嘆文(2,3年) |
単文,平叙文,疑問文,命令文,重文,複文,感嘆文 |
文型 |
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・中学校で指導 |
○Vがbe動詞
.Cが名詞,代名詞,形容詞(1年)
○Vがbe動詞以外の動詞
・Cが名詞, 形容詞(2年) |
※中学校で指導のものに,新たに次のものを加える。
・Vがbe動詞以外の動詞で,補語が現在分詞 |
・Oが名詞,代名詞(1年)
・Oが動名詞及び不定詞(2年)
・Oがhowなど不定詞,whatなどで始まる節,thatで始まる節及びthatが省略された節(3年) |
※中学校で指導のものに,新たに次のものを加える。
・Oがif又はwhetherで始まる節 |
・D.Oが名詞及び代名詞(2年) |
※中学校で指導のものに,新たに次のものを加える。
・D.Oがwhatなど不定詞,whatなど及びthatで始まる節並びにifまたはwhetherで始まる節 |
・Cが名詞(3年) |
※中学校で指導のものに,新
たに次のものを加える。
・Cが形容詞,現在分詞及び原形不定詞 |
その他の文型 |
ア.There is及びThere areで始まる文(1年)
イ.It+be+〜(+for)+to〜の文型(3年)
ウ.S+tell,askなど+O+不定詞の文型(3年) |
※中学校で指導のものに,新たに次のものを加える。
・if+beなど+〜+thatで始まる節 |
語及び連語 |
ア.1年 300語〜350語
イ.2年 300語〜350語
ウ.3年 300語〜350語
計(900語〜1,050語)
(うち必修語490語)
エ.連語(基本的なもの) |
※中学校における学習の基礎の上に,次の新語を加える。
・400語〜500語
・連語(基本的なもの) |