研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -010/090page

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5.考察と留意点

ここに二つの例をあげたが,生徒を指導する時,最も大切なことは,テープを聞いてからの教師の発問のスピード,答えが出ない時の補足質問のタイミング等対話のリズムを考慮することである。正しい表現が出ない時でも,単語だけでも答えるとか,well ……,um ……,uh ……,let me see ……のような問をつなぐ発声をうながして,自然な対話を心がける必要がある。初歩の段階におけるこうした言語活動では,意見,感想等を述べるより,ある事実に関する対話の方が好ましい。

V.学習指導要領における「読むこと」の言語活動と指導上の配慮及び指導事例

(ア) はっきりした発音で正しく音読すること。

文を読む場合,音読や黙読があるが,ここでは,最も基本的な音読を取り上げている。この言語活動には,二つの事柄があげられている。一つは「はっきりした発音」であり,もう一つは「正しい音読」である。

「はっきりした発音」として,次のようなことが考えられる。

[1] 英語の発音が明瞭であること。
[2] 声の大きさが適当であること。
[3] 発音が正しいこと。
[4] 適当なスピードがあること。

「正しく音読すること」の内容として,次のようなことが考えられる。

[1] 意味内容をふまえた音読であること。
[2] 個々の発音,語のアクセント,文の基本的な強勢,文の抑揚,文のくぎり等が適切であること。

これらの指導上の要素を的確にとらえ,発達段階や生徒の実態に応じて適切に指導することになる。

指導事例
In one coner of Hokkaido University you can see a bust of Dr.William S.Clark.
He was the first president of the first agricultural school in Japan.Thousands of people who visit the university stand around the bust and look up at it.
Dr.Clark served as a bridge across the Pacific when Japan was just beginning to become a modern country.Many Japanese students know his famous words,“Boys,be ambitious !”But very few Americans today know about Dr.Clark.
(New Prince English Course 3,Lesson 12)

1.Siient reading(3回)

(1) 新出語の発音を予想しながら読む。(1回目)
(2) 話のあらすじをつかませる。(2回目)
(3) 場面を想定しながら読ませる。(3回目)

2.Outline telling

(1) 内容を何人かに言わせる。
(2) University,bust,Dr.William S.Clark,president,agricultural,Pacific,ambitious等の意味と発音をたしかめる。
(3) Questions and answers drill

[1]Where can we see a bust.of Dc.William S.Clark?→You can see it in one corner of Hokkaido University.
[2]What was Dc.William S.Clark?→He was the first president of the first agricultural school in Japan.
〈以下略〉
問いや答の文に変化をつけるとともに文の強勢にも留意させる。

3.音読させる。その際,次の点に注意させる。

(1) はっきりした発音で音読すること。
(2) 文の内容を考えながら音読すること。
(3) 書かれていることの意味がよく表れるように工夫すること。


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