研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -001/071page
まえがき
これからの学校教育においては,「知・徳・体の調和のとれた,人間性豊かな児童生徒を育成する。ことをめざした教育の推進を図らなければならない。
この時期において,各小・中・高等学校においては,適切な教育課程の編成を行い,実践に努力を傾け創意ある教育活動が展開されているものと思われる。
本教育センターにおいても,教育の質的転換を図ることを意図し,計画的に「教育課程の実施に関する研究」に取り組んできた。
今年度は,A,「身近な材料を使ってものをつくる指導」B,「化学の基本法則の指導における問題解決能力の育成」C,「高等学校数学科におけるパソコンの活用」D,「個の主体的な学習を促すためのサイクロトロン型学習理論による教材・教具」E,「OHP活用の現状と課題解決の手だて」の五分野について研究を進めてきた。
小学校図工科の「身近な材料を使ってものをつくる指導」では,児童が積極的に身近にある材料を用いてものをつくる活動をさせるための動機づけとして,「身近な材料を使ってものをつくる指導」を取り上げ,新たに教材開発をした事例を中心にして研究考察したものである。
中学校理科「化学の基本法則の指導における問題解決能力の育成」では,微視的な物質概念を形成させていく指導と実験のあり方,およびこの指導で培い育てることのできる能力・態度について明らかにする。
高等学校数学科「高等学校数学科におけるパソコンの活用」では,高等学校におけるパソコンの活用状況に関する実態調査の結果を踏まえ,数学科の授業におけるパソコンの活用のしかたについて考察を加えたものである。
高等学校理科「サイクロトン型学習理論による教材・教具」では,教育課程の効果的達成をめざし,個を生かす授業実践をもとに設定された教育理論に基づき教材・教具の作成のあり方や方法を探求したものである。
教育工学「OHP活用の現状と課題解決の手だて」では,教育効果の期待できるOHPについて,利用の状況,利用上の問題点などの実態調査から,活用上の阻害要因を究明し,そこからOHPのより効果的な方途をさぐろうとしたものである。
以上が今年度の研究主題並びに研究の概要であるが,これらの課題にっいては,学習指導要領の趣旨をふまえて,ゆとりと充実をめざす各教科の課題解決の手がかりを提示し,参考に供するため発行しているものである。
おわりに,本紀要の作成にあたって,適切な資料を提供してくださった各小・中・高等学校と協力員の先生方に,心から感謝の意を表する次第である。
昭和59年3月福島県教育センター所長 舟 山 昇