研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -031/071page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

高等学校数学科におけるパソコンの活用

科学技術教育部   上川洋行 三浦光孝

1. はじめに

 昭和58年度から,高等学校で履習されている「数学II」の指導内容の一つに「電子計算機と流れ図。があり,そこでは,学習指導要領が示しているように,授業を通して「使用する計算機の機能に応じてプログラムを作成し,実際に計算機にかけて結果が求められるようにする」ことになっている。また,数学科の各科目の内容の取扱いについての記述のなかでは「数の計算に当たっては,必要に応じた各種の計算機を使用させて,学習の効果を高めるようにすること」と述べられている。
 一方,数学科で使用される計算機は,昭和55年に理科教育振興法の計算機に関する設備基準が改訂され,本県の高等学校の数学科には,1台20万円の電子式卓上計算機が配備されてきた。
 ところで,文部省が昭和58年1月1日現在で実施した「マイクロコンピュータの教育利用に関する調査」の結果によると,高等学校における利用分野としては,CMI的利用が61%と圧倒的に多く,CAI的利用が35%,コンピュータ教育16%,そして,クラブ活動などにおける利用が39%を占め,数学1での利用はコンピュータ教育に含めて集計され,その利用率は低いようである。
 また,研修のため当教育センターに来所する先生方の電子式卓上言十算機の利用についての話題の中では,台数がもっとほしいこと,専用の教室がほしいこと,研修の場がほしいこと,そしてソフトウユアの開発とその情報交換の場がほしいことなどが多くあげられている。
 ここでは,このうちのソフトウェアの開発に焦点を当て,本県の高等学校の数学科における電子式卓上計算機の利用状況の調査結果を踏まえ,数学の指導のなかで,この計算機を「いかに」活用したら,学習の効果をより高めることができるのか,その活用のしかたについて考察を加えてみたい。


2. パソコンの活用状況

 新しい設備基準によって,数学科に配備されている電子式卓上計算機(以下,パソコンと呼ぶ)を,各高等学校ではいかに利用しているのか,また,パソコンを数学の授業で活用することについて,数学科担当教師はどのように考えているのかなど,パソコンの利用状況とパソコン利用に対する教師の意識を把握するため,アンケート調査を実施した。
 調査は,昭和58年8月25日から9月10日の期間に,県下の高等学校(全日制)81校の数学科主任を対象に行い,77の回答(回収率95%)を得た。
 次に,調査の内容と結果について概要を述べてみたい。

(1) パソコンの配備状況と「数学II」の履習状況
 昭和55年から,プログラム言語BASlCでプログラミング可能なパソコンが,県下の各高等学校に配備されてきた。本調査によると,1校当たりの配備台数は,平均約2台である。なお,今後も継続してパソコンが各校へ配られていくものと思われる。
 次に,「電子計算機と流れ図」が内容として含まれている「数学II」の履習状況についてであるが,履習している学校は77校中53校(69%)と高い割合を占めている。

(2) パソコンの活用状況
 パソコンの活用のしかたについては,選択回答法で調査した。その結果,回答は「成績処理


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。