研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -052/071page

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 測定は直径の異なる鉄球を用いたが,直径の小さなもの程,空気の抵抗が大きいことがわかる。

測定結果

 電磁石を用いて,球を固定しておく場合,球を落下させるために電磁石の電流を切っても球に対する影響が大きく,負の加速度が出てしまい,磁石でコントロールするには無理がある。糸でつり,切って落す方法が完全である。



事例3
  VOLTAGE CONTROL
  FREQUENCY GENERATOR
 物理現象を電圧に変換し,それを DATA MEMORY や U/D COUNTER にINPUT し表示する。 A/D 変換用 IC は高価であるし, LSI も出てはいるがスピードが遅すぎるので,実用上高速でデータを得るのは困難である。筆者は高速で安価な 74LS624, 625, 627 などを用いて1000円程度の GENERATOR を作成した。測定時 0V のときの表示が0になるよう減算回路を考案した。これにより種々の物理量の変換が可能になった。交流をこれに入力し,データをグラフにプロットすると,サインカーブが得られるなどの特徴がある。 U/D COUNTGR に入力することにより運動量,力積,圧力,温度,コンデンサーの容量などの測定ができる。回路は事例1の部分と重複するので省略する。

実験装置

 教具の開発は今後更に近代化に向かって盛んになってくると思われる。しかし,科学の進歩が必ずしもメリットばかり提供するとは限らない。教師はシステムの複合化によるデメリットにも早く気がつかなければならないだろう。つまり,こうした先端技術を取り入れることによって,科学を理解させ得るものと,科学を放棄させてしまうものを選別する眼を養わねばならぬのである。
 開発に夢中になると,常に教育効果があるのかどうかの問いかけをすることを忘れてしまう。心したいものである。
 開発した実験装置はこの他十数点あるが,それについては,本センターの講座資料にくわしく述べることにして,3例を述べるに止めておきたい。


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