研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -025/089page

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なりがちである。
 この問題を解決し,本教育課程評価票(試案)による評価結果が改善により結びつくようにするためには,評価のために必要な資料を年間を通して計画的に収集し,それに基づいて評価を行うようにしなければならない。評価の目的に従って,対象範囲,観点を年度当初に明らかにして,教師一人一人がそれらに留意しつつ常日ごろから教育課程の展開過程で,改善したい点をその都度記録したり,そのための具体的な資料を収集しておくようにすることが大切である。このようにして,意図的・継続的に収集された資料によって評価が行われてはじめて本評価票(試案)の有効性・妥当性がでてくるものであり,評価結果が教育課程改善へと更に発展していくのである。

2.形成的な教育課程評価と資料収集
 編成された教育課程は固定的なものではなく,その実施によってその妥当性を吟味し,これに応じて常に改善を図っていかなければならない。そうすることによってはじめて教育活動の充実が期待できるのである。このように,教育課程の改善が実施過程の中で常時進められるためには,教育課程評価が年問の総決算ともいうべき学年末においてのみ行われるのではなく,常時適切に行われることが必要である。そして,このようにして日常の評価によって得られた資料は,その段階における改善に役立つのみでなく, 1.で述べたように,学年末に行われる教育課程評価票(試案)などによる総合的・客観的評価の裏づけとなり,また次年度に向けてより適切な教育課程を編成することに発展していくのである。
 例えば,学期末にその学期の指導計面の内容を実施状況に基づいて評価することは,次の学期の計画の内容に対して修正・改善の資料となるのみでなく,次年度教育課程編成に当たっての改善の視点にもなるのである。また,指導計画に基づき授業を実際に展開した場合に,その指導事項のまとめ方,指導の順序,重点のおき方,指導の方法などに評価を加えることは,それ以後の学習指導の充実に直接つながるだけでなく,このような評価によって得られた資料の累積に基づいて年度末の総合的な評価が行われてこそ,次年度の教育課程の改善に直結するのである。
 このような日常の教育課程評価による資料収集の方法は,各学校の実情により,教師一人一人の創意によって工夫されるべきものであるが,一般的には次のようなものが考えられよう。

○児童の学習の結果を改善のための資料とする方法
○指導計画と授業の実際とのズレを改善するための資料収集の方法
○授業評怖により楕導方法を改善するための資料収集の方法
○形成的評価やフィードバックの機能を生かす資料収集の方法
○学期の教育課程の実施状況を総合的に評価し改善のための資料収集の方法 など

 いずれにしても,教育課程のより適切な改善を目指し,教育課程の実施の各過程で具体的な資料を意図的・計画的に累積していき,実質的な改善を行うように努めなければならない。


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