研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -024/089page

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能が生かされること,各領域のP-D-Sの評価結果が,経営全体のP-D-Sの評価と関連を図ることにより経営の巨視的・動態的な評価が可能になるよう考慮する。

2.評価機能の重視
 教育課程評価にも,形成的評価の考え方を導入し,年度末の評価だけに終ることなく,学期末や年度途中の評価活動も行う。年度途中のたしかめによって問題の所在を把握し,フィードバックにより問題点が改善されるような評価機能を生かすようにする。

3.経営的発想に基づく見直しの観点
 先に見直しの観点として取り上げた「組織化」「計画化」,「調整化」に配慮し「共通理解」,「意識」,「意欲」,「人間関係」,「リーダーシップ」,「組織的取り組み」,「役割分担」,「計両的推進」などの語句を意図的に用いることにより,協働意欲への関心度を測定し,動態的評価に迫っていくようにする。

4.学習指導要頒に即した評価
 各学校では,学習指導要領の改訂のねらいの実現と,それぞれの学校の教育目標の具現化を目指し,各教科の目標,内容の定着に努めている。
 したがって,教育課程の評価に当たっては,評価対象・評価要素・評価観点の吟味の際.学習指導要領の趣旨にそうようにする。

5.実態に即した創意ある評価
 この度の教育課程基準の改善に関する答申では,各学校の創意ある主体的な学校経営の確立が期待されている。そこで,教育課程評価の基準を設定するに当たっても,それぞれの学校の実態や評価の目的により,主体的に行うようにする。
 したがって,当教育センターが開発した「教育課程評価票(試案)」の評価対象・評価要素・評価観点は,一般的,共通的な内容にとどめているので.活用に当たっては,各学校の工夫が望まれる。なお,「教育課程評価票(試案)」の作成の視点として。 別表3 としてまとめ,後に掲載したので参照されたい。


(5) 教育課程評価・改善のための資料収集
 教育課程の評価・改善を適切に行うためには,評価と改善に役立つ資料をいかに収集するかが大切である。思いつきや主観的な考えによって行われた評価は,評価本来のねらいである教育課程の改善へと発展し得ない。多面的で継続的な資料収集が求められる理由を次の二つの観点から述べる。ことにする。

1.教育課程改善に役立つ教育課程評価票(試案)の活用
 本研究で開発した教育課程評柵票(試案)は,教育課程経営の総合的・客観的評価を目指したものであり,評価結果を総合的に検討することにより,教育課程経営の問題点の所在を明らかにすることができる。具休的にいうならば.プロフィール化された評価結果を詳細に検討・分析することにより,教育課程経営の実際を総合的にとらえた場合どこに問題があるのか,どの評価対象範囲に改善の手を加えるべきか,例えば指導計画そのものに問題があるのか,展開の仕方に問題があったのかなど問題点の所在やその背景を明らかにすることにより,改善の方向が示唆される。教育課程の評価は,改善すべき方向と改善点を明らかにすることを目指すものであり,ねらいが達成されることになる。
 しかし,改善を目指す資料の収集,換言すれば教育課程経営上最も課題とされるS→P'へと移行する改善作業に着手した場合,この評価票(試案)による評価結果や資料だけではまだ十分とは言えない面がある。すなわち,上述のような改善点の抽出,改善策樹立の方向を示唆する一つの資料にはなりうるが,改善をどう図るかの資料としてはなお不十分である。それは,本評価票(試案)による教育課程評価が学年末に行われるが,評価実施のその時点でのみ本評価票(試案)が取り扱われるからである。このことは、評価主体者である教師個々の主観的な評価になり易く,したがって,評価結果やプロフィール自体の信ぴょう性も薄く


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