研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -000-01/053page

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まえがき

 今日,教育現場においては,それぞれの学校の教育目標をいかに教育課程に位置付け,教育諸計画に具体化して実際の教育活動を展開するかについて,真剣に考え,学校経営全般を通して,全職員により真しな取り組みがなされていることは,誠に喜ばしいことである。

 しかし,一方では,学校の教育目標や学年・学級目標と,各教科・領域の目標をはじめ様々の指導計画との間に,ともすると断層がみられ,日々の授業や指導の実践に生きて働かないという反省も多く聞かれる。

 このことに関して,本県教育委員会発行「教育福島」8月号('84)の「豊かな学校教育の推進」の中でも, 「教育目標を単なるスロ―ガンに終わらせないための方策を具体的にし,豊かな人間形成に更に大きな力を発揮させるよう,日々の実践を点検する必要がある。」と指摘している。

 学校が全教育活動をあげて達成すべき「めあて」である学校の教育目標が,実際の日常の教育諸活動の一つ一つに生かされていないという反省があるならば,この学校の教育目標を,日々の教育実践にいかに浸透させるかを現実に追究することこそ,各学校に求められる最も大きな課題であると言えよう。

 当教育センターが,このような教育現場の今日的課題に着目し,昭和59年度から3か年にわたる研究主題として取り上げた「学校の教育目標と教育課程に関する研究」も,学校の教育目標と教育課程を有機的・構造的に結び付けることによって,学校の教育目標を実際の指導の実践や児童生徒の生活そのものに生きて働かせることを目指したものである。なお,このことは,昭和53年度から継続的に研究されてきた二つの「学校経営改善に関する研究」より明らかにされた課題でもある。

 研究第1年次の本年度は,3か年にわたる本研究の基盤ともなる学校の教育目標の意義や性格など基本的事項に関する理論研究と,県下小・中・高等学校教員の,学校の教育目標と教育課程に関しての意識等の実態を把握する方向で研究を進めてきたところである。

 今後.本紀要で明らかにされた研究課題を追究し,研究構想に基づく体系的な研究を進め,教育現場の実践に生きて役立つように,その実を更にあげていきたい。本紀要が,それぞれの学校において,創意ある学校経宮の実践の一助となれば幸いである。

 本研究の推進にあたり,各研究協カ校及び調査依頼校の先生方には,校務多忙のところ特段の御協力をいただいたことに対し,改めて感謝の意を表する次第である。

昭和60年3月

福島県教育センター所長   舟 山 昇


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