研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -043/053page
の中で,学校の教育目標の具現を図ることなどは思いもよらぬことといった感じさえする。
ただ,教科や各領域への具現化の必要性については,関心が高まっており,やろうとする意欲は盛んであり,方法を待ちのぞんでいるといえる。
4 学校教育目標と児童生徒,保護者の意識
- 児童や生徒に対して,ほとんどはたらきかけをしなかった。
- 手だてを考え,はたらきかけをしてはいるが,どう受けとめられているかはわからない。
- 集会,PTA総会などで説明をしたり,協力を呼びかけているが,積極的な取り組みが見られない。
- 学級通信,PTA会報などを利用し,理解に努めている。
- 校歌と学校教育目標が結びついており,朝会,PTAの会合の折などに歌うことによって,目標を理解するのに役立っている。
- 父兄が具体的な項目について評価を行っているなど特色がある。
※ 学校教育目標に対する児童生徒,保護者の意識を高めるため,各学校で工夫がこらされていることがわかる。
すなわち,各種の集会の利用や学級,学校だよりなどの通信紙の利用とである。
しかしながら,学校の教育目標を児童生徒父兄の―人―人が具体的に理解しているとは言い難い。
学校の教育目標を単なる「ことば」だけで覚えたとしても,それは,理解したことにはならないし,具現という次元からは,全くかけはなれた存在であることを考えなければならない。
5 その他
所感として,各学校を訪問した所員が,みな一様に述べていることは,まず,学校の教育目標の具現についての関心がひじょうに高まっているということである。
学校が置かれている地域性,あるいは特殊性などによって違いはあるものの何らがの形で,学校の教育目標の具体化,具現化に努力が続けられていることである。
ただ,具体化や具現化のための手だてなどが明確になっていないため悩んでいることが多く,とくに,教科指導での具現については,ほとんどなされていないということである。
いずれにせよ,教育目標の具現ということは,教育現場の待ちのぞんでいる大きな課題であるということを知ったのである。