研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -001/093page

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 ま え が き



 これからの学校教育においては,知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒を育成することをめざした教育の推進がいっそう期待されている。
 このような時期において,これに対応し,県内各学校においては,適切な教育課程の編成を行い,その実践に努力を傾け,創意ある教育活動が展開されていることはよろこばしいことである。
 本教育センターにおいても,教育内容の向上をねらい,計画的に教育課程の研究に取り組んできた。
 今年度は,A,「一人一人を育てる社会科指導の在り方」 B,「身近な素材を生かした教材・教具の開発と指導」 C,「道徳的実践力を育てる道徳の時間の指導」 D,「論理的な表現能力を高める指導」 E,「実験を重視した“家庭一般”の指導と学習指導に関する一考察」 F,「同一性」の六分野について研究を進めてきた。

 小学校社会科の「一人一人を育てる社会科指導の在り方」では,「基礎的事項の完全習得」と個別的な社会認識の育成」の一体的把握とその指導があってこそ,一人一人の学力を育てることになることを前提として事例をもとに論述したものである。
 小学校理科の「身近な素材を生かした教材・教具の開発と指導」では,身近な素材のなかから,手軽に,安価で,しかも多量に作成できる探求教材を開発するとともに,その指導事例を挙げて研究したものである。
 小学校道徳の「道徳的実践力を育てる道徳の時間の指導」では,児童の心に,感動の高まりを求めて授業実践を試み,考察を加え,まとめたものである。
 中学校数学の「論理的な表現力を高める図形指導」では,望ましい図形指導のあり方について,具体的な方法や事例をあげながらまとめたものである。
 高等学校家庭科の「実験を重視した“家庭一般”の指導と学習指導事例」では,高等学校「家庭一般」における主体的な学習の意義と家庭一般「衣生活の設計・被服製作」の基礎的実験および実験記録表に関する事例をまとめたものである。
 教育相談の「同一性」では,トロント大学のカート・フロイントらの「性的同一性尺度」を訳出し,日本の事情に合うよう改善をこころみたものである。

 以上が,今年度の研究主題及び研究の概要であるが,これらの課題については,今日的課題をふまえて,ゆとりと充実をめざす課題解決の手がかりを提示し,参考に供するため発行したものである。
 おわりに,本紀要の作成にあたって,適切な資料を提供してくださった各小・中・高等学校と協力員の先生方に,心から感謝の意を表する次第である。


  昭和61年3月

福島県教育センター所長 折 笠 常 弘


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