研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -030/093page

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(6)簡易真空ポンプの製作と活用上の留意点
1 この真空ポンプは太さの違う2種類の小さい注射器と,大きい注射器があれば,同じつくり方で作ることができる。太さの違いは,間に入れるビニールチープの太さや厚さを変えればよい。したがって,校医などに頼んでおくと,材料費は非常に安くできる。
2 真空ポンプなら,どれも同じであるが,接続するゴム管などには大きな大気圧がかかるため,つぶれて,通気がなくなる場合がある。できるだけ肉厚なゴムホースやどニール管などを使用する必要がある。
 また,いままで何度も述べてきたが,特にゴム栓とガラス管の接続部からも空気がもれやすいので特に留意したい。
3 この簡易真空ポンプは,水などの液体を使用するときのポンプとして使用してもよい。特に,大きい注射器を小さいものに変えるとピペットがわりに使用することができる。

IV お わ り に
 研究実践内容としての事例A・B・Cの教材はどれも手軽に作れて,児童の自主的・主体的な学習活動を助長することのできる,有意義な教材製作であると思われる。 特に事例Bの「手巻きコイルを用いた着磁・消磁器づくり」は,小学校1学年から6学年まで幅広く活用できるし,児童自身にも使用させられるので,児童が自ら問題をつかみ,解決していく一貫した自然探究を行うとき大変有益であると思われる。
 また,事例Cは困難な真空づくりを,安全に,児童自身の手でつくり出せる点で,児童が直観的に発想した問題を,自ら探究して解決させることができてよいと思われる。
 そして,これらの教材はどれも安価に多量つくれるため,学習の個別化を図る上で非常に役立つものと思われる。
 当研究の究極のねらいは,理科教育のねらいである,自然の事物・現象の中から問題を見い出し創意工夫をもって自ら解決していく科学的な自然探究の方法を身につけて,今後出合うであろう,それらに関する困難な事態に遭遇した時に,主体的に対応できる児童の育成である。つまり,理科の学習を通して「自己教育力の育成」を図ることでもある。

〔参考文献〕
小学校理科指導書          文部省
実験器具「製作ハンドブック」   共立出版


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