研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -029/093page
5 指導上の留意点
・ 一度点火した後のフラスコの中の空気はなかなか入れ替わらないので,水を入れながら交換すること。
・ 真空ポンプとフラスコを結ぶ途中の管から,何度も動かしているうちに空気がもるようになりがちなので,真空中でローソクが点火しても,再度実験してみること。
・ スライダックを働かせる必要上,教師実験となりがちであるが,もし,十分に指導できたら児童実験としたい。(5)真空中での種子の発芽の指導
1 小学校5学年「たねの発芽」の指導で児童実験として用いる。
2 ねらいは「種子が発芽するには,水・空気温度が必要」なことを調べることであるが,現在までの実験法では,空気のない状態をつくるのに水を多く入れて行っている。
しかし,水も種子の発芽条件の一つであり,魚も水中で酸素を取っているように,水が一ぱいあるからといって,空気がないという考えは,小学校5学年の児童には無理が多い。
そのため,水のある,なしの条件を直接つくるように,空気が入っている所と,真空の所を直接つくり出し,対比させるようにしたい。
3 真空をつくる方法として前述のように電動真空ポンプは問題が多いため,この簡易真空ポンプを用い,児童が直接真空状態をつくりながら探究できるようにしたい。
4 実験方法
右上図のような実験装置をつくり,次のようにして調べる。
ア.3〜500立方cmのフラスコを2個用意する。
イ.両方のフラスコに水を20立方cmほど入れ ガーゼを入れておく。
ウ.一昼夜水に入れておいた大豆などの種子を7〜9,粒入れる。
エ.一方のフラスコはガラス管をつけたゴム栓をフラスコにつけておく。これは空気入りの方である。
オ.他方は,ゴム管のついているガラス管をつけたゴム栓をフラスコにつけ,簡易真空ポンプで十分空気をぬく。その後,ゴム管にピンチコックを付け,フラスコの中を真空状態に保つ。
カ 約2〜3日で,空気中のものは発芽しているのが見られるが,真空中のものは発芽しない。
もし,発芽したら空気がもれた証拠である。特に長日そのままにしておくと,段々と空気が入り,発芽していることもある。
キ.実験装置
図表−16 真空中での種子の発芽実験
5 指導上の留意点
・ ゴム栓とフラスコの口や,ゴム栓とガラス管の接続部は特に注意してつけ,2〜3日の長時間おいても空気がもれないようにしておく必要がある。
・児童に自主的に探究させることと,どんなに注意しても空気のもれることがあるので,10セットくらい同時に行うと,一部の失敗があっても,真空中では種子が発芽しないことがわかってよい。(教師実験でていねいに1〜2個行ってもよい。)