研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -063/093page

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実験を重視した「家庭一般」の指導と学習指導に関する一考察

    科学技術教育部 吉 田 和 子

1.はじめに
 家庭科は総合教科であるといわれながら,ややもすると生活処理技術教育が強調され,総合的調整能力を育てる点が弱いように思われる。
 しかも,家庭経営の立場からの視点も忘れがちになる。特に,実習・製作になると完成することにのみ力が注がれ,何のための実習か,製作を通して何を学ばせるかを見失う傾向がみられる。
 そこで家庭一般の「衣生活の設計・被服製作」は実習・製作が主となるが生徒の科学的感度を育成するために,実験を積極的に取り入れる必要がある。
 また,多様化した生徒に対応したり,作業進度の早い生徒が主体的に取り組めるよう,身近な素材を用いることが大切である。
 次に,実験事例を中心に述べてみたい。

2.家庭一般の指導内容と構造
 家庭一般は,高等学校における家庭に関する科目の基礎であり,学習指導要領の目標には,次のように示されている。
 衣食住及び保育などに関する基礎的な知識と技術を家庭経営の立場から体験的・総合的に習得させ,家庭生活を合理的に営み,その充実向上を図る能力と実跡的態度を育てる。

 この目標は,家庭一般のねらいを明確に示し,その目標を達成するのに必要な内容は次の通りである。
(1)家庭生活の設計・家族
(2)衣生活の設計・被服製作
(3)食生活の設計・調理
(4)住生活の設計・住居の管理
(5)母性の健康・乳幼児の保育
(6)ホームプロジェクト・学校家庭クラブ
 以上のように内容が広範多岐にわたり,余りにも豊富なため,焦点化されず,知識や技術の単なる習得に終わっている。しかも,生徒たちはテレビや出版物,交通機関の発達等により,多くの情報を入手し,断片的知識は持っている。そのため,学習内容に対する新鮮さが失われがちである。従って内容の精選・構造化を図り,多くの実験・実習を取り入れるなどして,生徒の興味・関心を育て,すすんで学習する意欲を換起することが大切である。
次に,家庭一般の構造は,目標に照らし下のようになる。

家庭生活の充実向上    

           
 ホームプロジェクト・学校家庭クラブ

 

 

 

衣生活の設計・被服製作
 
食生活の設計・調理
 
住生活の設計・住居管理
 
母性の健康・乳幼児の保育

 

 

 

家庭生活の設計・家族     

 以上のように指導内容の構造化とは,学習指導要領に示されている教科と科目の目標を,学科の目標・生徒の実態などに即し,効果的に達成するよう指導内容の重点化,組織化を行うことである。

3.家庭一般の指導計画の作成
(1)指導計画作成に当たっての配慮事項


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