研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -085/093page

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日本ではまだない。
 そこで,その文献を研究のすすんでいるアメリカに求めた。
 幸い,県立医科大学神経精神医学講座,星野仁彦氏が,エール大学に留学中であったので,氏のご協力により,同大図書館資料から,トロント大学助教授,カート・フロインドらの試作した性的同一性尺度を入手し,それを訳出して,一部を日本の事情に合うよう変更して使用することができた。
 なお,訳出に当たっても,上記星野仁彦氏にご協力をいただいたことを感謝する。

2.性的同一性尺度訳出までの事情
 今回の調査に用いた性的同一性尺度は,アメリカのトロント大学助教授カート・フロインド,同ロン・ランゲビン,同ベティ・スタイナー,それに心理学者ジョン・サターバーグらの「Extension of the Gender Identity Scale for Males」の中の「The gender identity items with clinical weights given in Rdventheses,Part A,part B,part C,」のpart Aを訳出したものである。
 カート・フロインドらの研究は,彼らの属するトロント大学の諸施設,性的同一性診療施設などにおいて行われたものである。
 特にpart Aだけを訳して用いた理由は,Part B,Part Cが,事情の違いもあって,性的表現に種々の問題があり,高校生には向かないと判断したためであり,そのために,彼らの研究と比較検討できないのは残念であるが,これもやむを得ないと考えている。

3.性的同一性測定尺度(Gender Identity Scale)
 この尺度は,原文では(1)〜(19),になっているものを使いやすいように,意味を出来るだけそのままに,表現をやわらかくして高校生の事情に合うようにして(a)〜(r)までにまとめてある。
 なお,今回入手出来たのは,男性用の尺度であったので,訳出して作成したものも,当然,男性用の性的同一性尺度である。
 次に,性的同一性尺度を示す。

Gonder Identity scale
 (該当する番号を○印でかこんで下さい)
a)6−12歳の間,
 1)男の子と遊ぶのが好きだった
 2)女の子と遊ぶのが好きだった
 3)男女の区別なく遊んだ
 4)他の子供とは遊ばなかった
 5)覚えていない

b)6−12歳の間,
 1)男の子の遊びやおもちゃが好きだった
 (例えば,スポーツ,戦争ごっこ,プラモデル)
 2)女の子の遊びやおもちゃが好きだった
 (例えば,お人形,ままごと遊び,編み物)
 3)どちらも同じくらい好きだった

c)6−12歳の間,普通お母さんがやる事(洗濯,掃除,炊事など)を手伝うのが好きでしたか。
 1)はい
 2)いいえ
 3)覚えていない

d)13−16歳の間,普通お母さんがやる事(洗濯,掃除,炊事など)を手伝うのが好きでしたか。
 1)はい
 2)いいえ
 3)覚えていない

e)6−12歳の問,本や雑誌で物語を読むとき,
 1)男の主人公(例えば探偵,刑事,英雄,探検家,兵士など)になったように想像して読んだ
 2)女の主人公(例えば,救い出される少女など)になったように想像して読んだ


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