研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -016/106page
4.シソの葉と酢を用いた「中和反応」の指導
1.はじめに
リトマスが苔の1種から採られるように,色素は数多くの植物から得られ,液性によって鮮やかに変色するので指示薬として使い得るものが多い。紫シソの葉を水で煮だして得られる色素液も酸性ではきれいな赤色となりアルカリ性では黄〜黄褐色を示すので中和反応における指示薬として用いることができる。ここでは,紫シソの葉の色素を用いてBTBやフェノールフタレンと対比しながら食酢中の酸の量(酢酸の量)を調べてみる。2.素材の活用と指導法
(1)試薬と器具
紫シソの葉,食酢,フェノールフタレン,BTB,3個,ピペット3本,メスシリンダー,試験管5本,3%水酸化ナトリウム溶液,氷酢酸,ビーカー ハサミ,バーナー,マッチ,三脚,金網,ガラス棒,マジックペン(2)実験
1(丸囲み)色素の抽出
紫シソの葉2枚をハサミで細かく切ってビーカー(507舶)に入れる。次に,水を20mg程加えて加熱沸騰させ,ガラス棒でかきまぜながらシソの葉が緑色に変化するのを待ち放冷する。
2(丸囲み)色素の変化と食酢の定量
(ア)試験管3本とビーカー(50mg)を2個用意し,試験管にはA,B,C,ビーカーにはB’,C′の文字を記す。次に,ピペットを用いて食酢を試験管A,B,Cには5mβずつ,ビーカーB’,C′には10mgずつ入れる。
(イ)試験管Aにはフェノールフタレンを2滴,試験管BとビーカーB′にはBTBを2滴ずつ,試験管CとビーカーC′にはシソの色素液を1ァ必ずつ加え,その色を別表に記す。
(ウ)水酸化ナトリウム溶液をピペット試験管A,B,Cには1mβずつ,ビーカーB′,C′には途中まで2mβずつ,その後は1mgずつ加えて振りまぜ,その液の色を記入する。
(エ)液の色が変ったらそこが反応の終点なので,その色と中和に要した水酸化ナトリウム溶液の量を記し,試験管BとビーカーB′及びCとC’について食酢の量と水酸化ナトリウム溶液の量を比較する。
3(丸囲み)氷酢酸の中和
(オ)ピペットで氷酢酸(100%酢酸)をビーカー(50mg)に10mgとり,これにメスシリンダーを用いて水を40吼紬口え,ガラス棒でかくはんして20%濃度の酢酸をつくる。
(カ)この溶液を更にピペットで107舶とって別のビ−カー(50mg)に入れ,水を40ml加えてかきまぜて4%濃度の酢酸とする。
(キ)試験管2本に上の4%酢酸溶液をピペットで5mgずつとり,一方にはBTBを2滴,他方にはシソの色素液を1m畑口えて,水酸化ナトリウム溶液を1mgずつ加えて行く。