研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -034/106page
13.分類カードを用いた「校庭の植物の観察」に関する指導
1.はじめに
植物の分類のポイントや植物の観察の方法を生徒自身よく理解していないために,野外での植物観察への意欲や興味を失わせている状況にある。教師にとっても経験不足や生徒の管理の面での困難さから野外学習は遠のえているのが現状と考える。植物の名前を知っていることは,その植動に何んとなく親しみがもてるものである。生徒たちが,植物の調べ方がわかり,ひとつでも多くの植物名を覚えられれば,生徒たちの目を身近な植物に向けることができると考える。ここでは,比較的簡単な植物分類のポイントや植物の観察の仕方について,分類カードをもとに考察する。
2.素材の活用と指導法
(1)植物分類のポイント
1(丸囲み)植物を分類する際には,植物の特徴を正しくつかむことが大切である。どこが葉,茎,根であ るかわからないのでは区別はできない。植物を見分けるとき次のような特徴をおさえることである。
花のつくり
・花びらの様子(花弁の数,合弁か離弁か),花の色(赤,黄,自・・・)
・おしべの数, 花の咲く時期(春,夏,秋,冬)
葉のようす
・葉のつき方(対生,互生,輪生,根生),葉脈のようす(網状脈,平行脈・・・)
・葉のへりのようす(平である。ぎさぎさ,深い切りこみ・・・)
・葉のもとのようす(葉柄がある,葉柄がない)
・葉鞘のようす(毛なし,毛あり,葉舌がある)
生活型
・直立型・分枝型・くさむら型・ロゼット型・はふく型・つる型
茎のようす
・円い形 ・三角形 ・四角形
花穂のようす
・花穂全体(技分かれしない,枝分かれする,もとの方で枝分かれする)
・小穂(毛がある,毛がない)
上記以外にも特徴は考えられるが,これらをおさえておけば,ほぼ十分である。これらの特徴をもとにして,図−1(丸囲み)のような分類カードを作り準備しておく。
これらの特徴について,OHPで投影し,生徒に理解させておく。できるだけ理解し易いように,図で見せると良い。次に,生徒各自に1種類の植物を校庭から採集させる。分類カードをもとに観察させ,図-2(丸囲み)のような観察記録表にまとめさせる。