研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -008/066page

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事 例 1 (小学校 1)

自分勝手な行動をする男子小学生の事例

1.主訴   粗暴行動

2.対象   小学校5年,男子

3.問題概要

 小学校入学以来,次のような学校生活が現在まで続いている。

● 授業が始まっても席につかない。
● 授業中,おしゃべりをする,周囲へいたずらをする,奇声を発する。
● 解答を書かないテスト用紙を提出する。
● ノートをめちゃくちゃに使用する。
● 朝の掃除をさぼる。
● 休み時間や放課後など,遊び仲間を扇動し,力の弱い子や女の子にいやがらせをして,泣かせたりする。
● 些細なことにすぐカッとして,物を投げたり,足で踏んで壊したりする。

 これらの行動について,教師から注意を受ける が,それを無視して自分勝手な行動をする。

4.資料

(1) 生物的次元

● 身体的特徴

 出産は正常分娩。1〜2歳にかけて4回ほど 肺炎にかかり高熱が続き,ひきつけを起こした。 4回目には医者から生命を危ぶまれるほど症状が 悪化し,入院をしたことがあった。また,はしか, 腎炎,気管支炎などの既往歴があり,かぜなどに かかると扁桃腺がはれやすい。

(2)心理的次元

● 知的発達

 小学校2年生時知能偏差値58,4年生時63であ るが,2年生の学習の評定は全教科2であり,第5学年1学期の成績は,図工の評定が3,それ以外の教科は2である。

 具体的には,かけ算が十分に身についていない ので,現在学習している計算の理解が困難である。 また,国語の長文読解も苦手としており,内容の 要約に抵抗を示す。

● 性格・行動

指導要録によれば次のような特徴を示している。

● 交友関係

 遊び仲間の7人と行動をともにすることが多い。 5月に実施したソシオメトリーによれば,

男子から 被選択 5 被排斥 5
女子から 0 4

となっている。

 男子からは,好かれていることと敬遠されてい ることの二面性がある。しかし,女子からは一方 的にきらわれていることがわかる。

● 運動・行動

 幼児期から,よく動きまわったり,落ち着きが なく,親が面倒を見るのに大変苦労した。幼稚園 でもまわりの子供たちに合わせた行動ができなか った。現在,学校ではサッカーなどの大きな動き を要するものは,他の子供と同じ程度の能力を示 すことができる。しかし,マット,跳び箱,鉄棒 などの器械運動ではぎこちなさが見られる。また, リズム運動などでは,スキップやこまかなステッ プがよくできず,グループのメンバーから教えて もらうことが多い。


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