研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -041/075page
12. 教育目標と生徒指導計画との関連づけについて
(1) 問題点
教育目標を具現化する場合,生徒指導は児童生徒の学校生活と特に直結すると考えられ,生徒指導の全体計画の中でも,教育目標との関連を明確に位置づける努カが各校に見られる。
このことは教科学習を通しての教育目標の具現化がなかなか見られていないのと比較して,大きな違いのあるところである。しかし,そうした中で次のような問題点があげられている。
1) 全体計画に関する問題 ・ 表現が抽象的であり,具体的に何をするのかが明確でない。 ・ 学年,学級の実践計画との結びつきが不十分である。 ・ 学習指導要領の三領域や各部門計画の中での生徒指導のねらいが不明確である。 2) 具体的な活動についての評価に関する問題 ・ 評価を計画している学校が少なく,実践結果が改善になかなか生かされない。 ・ 活動の場が明確でないので,実態に即した評価や指導が困難である。 生徒指導が学校の全教育活動の中で果たす役割を,教育目標達成という観点から受けとめ,児童生徒の実態に即した具体的な指導を生みだそうとする努力が必要である。
(2) 基本的な考え方
児童一人一人にとって役に立つ生徒指導を行うために,すべての児童を対象にした総合的な教育活動として生徒指導を考えることが必要である。その中で,生徒指導の目標である「人格の望ましい発達」をいかに効果的に達成するのかを教育目標とのかかわりの中で計画することが大切である。そして,現実社会の中で営まれる望ましい人間関係を保ち得る資質を育てながら,児童が当面する生活場面に適応し,自己実現がはかられるような計画と指導を考えなければならないであろう。
具体的な手順やおさえるべき内容は,およそ次のように考えられる。
1) 生徒指導全体計画の中で,教育目標と生徒指導の目標をどう関連させるかを工夫し,教育活動の中での教育目標の位置づけを明確にする。 2) 生徒指導の目標を学年,学級の目標におろす際,教育目標とのかかわりをどう持たせるか,教師の創意工夫を生かすようにする。 3) 児童一人一人の行動を評価し,学級全体の評価を総合して改善に結びつけるようにする そして,教師側で立案した実践計画に,児童の実践した評価をとり入れ,教師と児童による実践する生徒指導計画としていきたいと考える。
(3) 教育目標を生徒指導の計画に関連づけた例