研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -043/075page
(4) 日々の活動の実際 (2年1組の例)
日 々 の 記 録 △△ 小学校
(1) 教育目標具現を目指した日々の生徒指導の実践について,評価反省し適切な指導,援助のあり方をさぐる(A欄に記入) (2) 記録することを通して児童の理解を深め,学業,生徒指導のあり方を充実していく。(B欄に記入)なお,B欄には教育目標との関連,到達の程度,および担任としての悩み(保護者や児童との人間関係など)も遠慮なく記入する。 (3) 記録の対象児には,不適応に悩む子,いじめられっ子,友人のいない子,わかりの遅い子,目だたない子,おどおどしている子,その他の問題をかかえている子などを特に重視する。 5
月
15
日
(木)
A 朝のあいさつ(教室に人るとき)は定着しつつあるが,えしゃくはまだまだである。今度教室で練習したり,その場,その場での指導を強化していきたい。 B 朝,始業のチャイムと同時に教室に入ると,全員,授業の準備はできているが,あちこちでおしゃべりをしている。そんな中で,○○君は静かに教科書を見ていた。すかさず「○○君えらいね」とみんなの前でほめ、○○君を模範とするよう指導した。○○君はほめられてうれしそうだった。努力目標「ロ.自分の言動についてふりかえること」の大切さを指導した。 ※ Bの記録は4(丸囲み文字)の生徒指導個表に転記される。
(5) むすび
生徒指導を学校の全教育活動の総合的なものとして考えた計画の例である。特色としては,学校の全体計画から,学年の目標をとらえ,さらに学級成員一人一人の個人目標と学級の目標とを結びつけて,教育目標の具体化を図ることである。
つまり,学年目標を各学級担任が,自分の学級の成員の実態をもとに作り出す作業が入ることである。今までの計画と比較すると,担任,児童の目標の受けとめ方が全く異なってくるといえる。
しかも,学級担任は教育目標達成のために,日常生活の場で,しかも具体的な場で個に応じた適切な援助がなされるわけである。そのようにした「日々の記録」は,生徒指導の目標,ひいては教育目標の評価になり,真に生きた学級経営を行うための有力な手がかりとなる。
しかし,最も大切なことは,それらの計画を推進する教師の構えであるといえる。各々の教師がもう一度生徒指導の役割を認識し,児童の望ましい人格形成のため,今,何をすべきかを真剣に考えるようにしたい。